中国の空母「遼寧」の問題点


 一方の中国の空母はどうだろうか? 中国メディアは、米国における報道を引用し、中国が保有する艦上戦闘機J-15は、空母「遼寧」から発進させる場合、搭載できる武器の重量が2トンであり、陸上基地から離陸する場合の12トンよりも極めて少ないと報じた。陸上から運用する時の約6分の1しか、ミサイル等を搭載できないということだ。
中国初の空母「遼寧」=2012年10月14日、青島(AP)
中国初の空母「遼寧」=2012年10月14日、青島(AP)
 これは、離陸重量の制限によるものである。離陸距離が十分に取れれば、離陸のための加速が十分にできる。離陸速度を上げられれば揚力が増し、機体が重くても離陸できるという訳だ。しかし、問題は、巨大な空母であっても、陸上飛行場の滑走路のような飛行甲板の長さを確保できないことである。

 「遼寧」には、さらに艦載機の問題もある。中国が、ロシアの戦闘機をベースに開発した艦載機のエンジン出力が不足しているのではないかと思われる。エンジン出力が不足しているために、飛行甲板上で、十分な加速が得られないのだ。

 前出の記事によると、中国は当初、遼寧に搭載するため、ロシアからSu-33を購入する予定であった。しかし、中国がロシアのSu-27を違法にコピー生産していることを知り、ロシアがSu-33の売却を拒否したとされる。

 そのため、中国は艦載機としてJ-15を開発せざるを得なくなった。J-15は、外観はSu-33に酷似しているが、電子装置やエンジンなどは中国の自国開発だとされる。

 「遼寧」は、元々、ソ連海軍のために建造された重航空巡洋艦「ワリヤーグ」である。因みに、ソ連が「ワリヤーグ」を、空母ではなく重航空巡洋艦に分類したのは、ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡の空母通峡禁止を定めたモントール条約に対する政治的処置である。空母に分類したのでは、黒海から地中海に入れなくなってしまうからだ。

 ソ連海軍が、搭載武器の搭載量を6分の1に制限されるような設計をしたとは考えにくい。中国が空母として修復した「遼寧」の艦載機が搭載武器を制限されるのは、「遼寧」の速力及び航空機の性能に問題があると考えるのが妥当だろう。