その点で、興味深かったのがオマーン戦だった。

 プレーメーカータイプではなく、ボール奪取に優れる山口蛍と永木亮太がボランチを務めたことで中盤でのパス回しはシンプルになり、一方、相手のゴール前では本田や清武弘嗣、齋藤学、大迫勇也ら攻撃陣のコンビネーションによって崩しが見られた。
【ロシアW杯アジア最終予選日本代表対サウジアラビア代表】練習に臨む、本田圭佑(中央)。奥はハリルホジッチ監督=14日、埼玉スタジアム2002 (撮影・中井誠)
練習に臨む本田圭佑(中央)。奥はハリルホジッチ監督=14日、埼玉スタジアム2002(撮影・中井誠)
 指揮官の望むスピーディーな攻撃と、日本の強みであるショートパスによる連動した攻撃がうまくマッチしていたように感じられたのだ。

 そのなかで、本田のパフォーマンスも決して悪いようには思わなかった。

 本田がマークを引き連れてインサイドにポジションを取ることで、右サイドバックの酒井宏樹やトップ下の清武をフリーにする場面が何度か見られ、球離れもよく、ワンタッチ、ツータッチで周囲にボールを預け、前線に走り込んでいた。

 ペナルティーエリア内で清武とパス交換をした16分、続けざまにシュートを放った25分、齋藤にロングフィードを送った28分、ミドルシュートを放った57分の場面など、本田がチャンスに絡んだ回数も少なくない。大迫が決めた2点目もゴールシーンでも、山口からのパスを受け、タメを作って清武に預けたのは本田だった。

 だが、指揮官のコメントは、ハッパを掛ける意味ではなく、本音だったようだ。13日に行われた戦術練習では本田が主力組から外れ、代わって浅野拓磨が起用されたようなのだ。

 もっとも、実際に15日のサウジアラビア戦で浅野がスタメンに抜擢され、本田がベンチに回ったとしても、本田が日本代表に必要ないと結論付けるのは短絡的だ。コンディションがベストでなくても、本田はこれまで結果を残してきたからだ。

 9月のUAE戦では先制ゴールを奪い、10月のイラク戦でも清武とのコンビネーションで原口元気のゴールを演出した。オーストラリア戦でも1トップを務め、原口のゴールをアシストし、ハリルジャパンでの9ゴールは依然としてチーム最多の数字だ。「今の時点で、自分が代表から外される理由はない」というコメントを本田が発したのは、結果を残してきたという自負があるからだろう。

 また、チームを牽引する本田のリーダーシップとこれまでの経験、精神的支柱としての存在感は、最終予選を戦ううえで依然として必要なものだ。

 本田自身、もう一度絶大な信頼を取り戻すのは、自身のパフォーマンス次第だということを理解しているはずだ。本田はオマーン戦の翌日、こんなことを語った。

「批判もありがたいことだと思っているし、見返したいという気持ちがなくなってしまえばサッカーを辞めるべきだし、本田はパフォーマンスを上げてきたとか、もう一度本調子に戻してきたって言われないといけないと思っているので、自分で強がって発言するだけじゃなく、実際に明らかに戻ったって言われることも重要だと認識している」

 この冬にでもミランを離れ、試合に出られるチームに移籍してベストコンディションを取り戻す必要はあるが、本田が依然としてチームにとって必要な選手であることに変わりはない。