真意は「カネ」にあり


 翁長知事がトランプ氏に送った「秋波」は、果たして日米同盟のこうした転換期を認識した上でのものだろうか? 結論からいえば、それはきわめて怪しい。

 日米同盟を認めつつ普天間飛行場の辺野古移設や東村高江のヘリパッド移設に反対する翁長知事の「真意」は、そもそも「カネ」にある。つまり、沖縄振興予算と防衛費に依存する沖縄の補助金漬け経済の維持・拡大こそ、翁長知事の最大の目標である。「基地反対」「沖縄差別反対」を唱えて政府に圧力をかければ、政府はその懐柔策として巨額の補助金を沖縄に与える。

 「負担と見返り」のこの構造は大田昌秀県政(1990ー1998年)以来変わることなく続いている。「沖縄のこころ」「県民の平和への意思」を前面に出して基地反対・沖縄差別反対を唱えれば、政府からカネを引き出すことができるのである。

 仲井眞弘多前知事は、「辺野古埋立承認」という切り札を使うことで、この構造に楔(くさび)を打ち込もうとしたから知事の座から追われた、と筆者は考えている。

 辺野古移設を是認してしまえば、「基地反対運動の最大の拠点」が失われる。「辺野古」は、知事が先頭に立って「基地反対」「沖縄差別反対」の圧力を政府にかけ続けるために不可欠の闘争地点だったからである。

 「辺野古」が失われれば、沖縄に対する特別な補助金の法的根拠である沖縄振興計画(計画期間10年/現在は5期目で2021年度終了)はもはや延長されない恐れがある。そうなれば沖縄は「特別扱い」を受けない他の46都道府県と同列になる。いってみれば「格下げ」である。

 仲井眞前知事の埋め立て承認は、翁長知事にとって沖縄をおとしめるものに等しかったのである。仲井眞氏を下して当選した翁長知事は、「辺野古移設反対」を唱えることにより、沖縄振興計画の延長をもくろんでいるのである。

 先に述べたようにトランプ氏の安保観は、日米同盟を弱体化させるものでもなければ、米軍撤退に直結するものでもない。あくまでも財政的な問題である。筆者は必ずしも賛成しないが、日本政府が国防費の対GDP比1%を2%に引き上げ、米軍駐留経費を全額負担すれば済むことともいえる。

 政治的巧者の翁長知事がそんなことに気付かないわけがない。翁長知事にとって駐留経費を日米両政府のどちらがどの程度負担するかはどうでもよいことである。日本側の国防費がどうなろうが、沖縄振興予算に影響が及んで減らされることがなければそれでいい。