カネと反対の悪循環

 翁長知事がトランプ新大統領に面会したがるのは、失言も多いトランプ氏から「日本政府の努力が足りない」あるいは「沖縄県民の負担は多とする」といった言質を引き出したいがためだろう。「日本政府=悪、沖縄=善」という構図に資する発言を期待しているのである。

 そうした言質が取れれば、「基地反対」「沖縄差別反対」という政府批判を補強することができる。要するに、沖縄振興計画の延長に利用できる発言なら何でもいいのだ。

鶴保沖縄北方担当相に「平成29年度税制改正要望書」を手渡し、記者の質問に答える沖縄県の翁長雄志知事(中央)=11月24日、東京・永田町の内閣府 (代表撮影)
鶴保沖縄北方担当相に「平成29年度税制改正
要望書」を手渡し、記者の質問に答える沖縄県
の翁長雄志知事(中央)=11月24日、東京・永
田町の内閣府 (代表撮影)
 「そんなことはない。翁長知事は米軍基地をなくしたいという沖縄の民意をトランプ新大統領に正しく伝えようとしているだけだ」という反論もあろう。しかしながら、本気で「基地撤去」あるいは「辺野古移設反対」を望むなら、翁長知事は「米軍駐留経費の日本側負担増大反対」というスローガンを日本政府に突きつけるべきである。

 新大統領には「どうか撤退してください。それが県民の総意です」ないし「県民は駐留経費の日本側負担増に反対です」と伝えるべきだ。トランプ氏は、日本側が駐留経費を全面負担しない限り撤退すると言っているのだから、それが辺野古移設を阻止するためのいちばんの近道である。

 翁長知事は「在日米軍が撤退するわけがない」という大前提に立った上で、あの手この手の「反対」を繰り返しているだけだ。そうした姿勢が「カネを生む」と信じているからである。「カネと反対の悪循環」に終止符を打つためには、安倍政権が「これ以上の駐留経費負担はできない」という姿勢を取り、トランプ新大統領が「在日米軍の全面撤退」を決断する必要があるが、今のところその可能性は薄い。

 だが、翁長知事の基地とカネをめぐる「政略」は、すでに国民に知られつつある。ネット上にあふれる「沖縄切り捨て論」がその兆候だ。オール沖縄寄りの識者は、こうした沖縄切り捨て論を「沖縄差別」「沖縄に対するヘイトスピーチ」だと非難するが、トランプ新大統領誕生を機に、日米安保体制の見直しがより広汎に議論されるようになれば、翁長知事とオール沖縄の立ち位置の矛盾はいっそう明確になるはずだ。

 日米同盟や国民や県民の安全保障とほとんど無関係な「基地反対」はやがて破綻するだろう。その意味で、トランプ新大統領の誕生はやはり歓迎すべきことだ。翁長知事とオール沖縄は、トランプ新大統領を歓迎することで実は自ら墓穴を掘っているのである。