首相に先手を打たれた焦り


 安倍総理の動きは早かった。10日、午前7時55分から約20分間、ドナルド・トランプ次期米国大統領と電話会談を行い、APECの前にニューヨークで会談を行う方向で調整することを決めると、17日夕(日本時間18日朝)にはトランプ氏とニューヨークで約1時間半にわたり会談した。

 当初45分間だった予定が倍の1時間半に延長され、公開された写真でもお互いに和やかな笑顔を見せ、会談が大成功だったことを伺わせている。会談内容は非公開のため詳細は不明だが、殆どのメディアは関係構築に成功したと報道している。

 19日、沖縄タイムスは平安名純代・米国特約記者の署名で、安倍・トランプ会談のレポートを掲載し、次の解説で締めくくっている。

 「アジア太平洋地域における米軍の重要性を強調しながら日本の責任としての自衛隊配備と米軍との共同訓練などを力説する安倍氏の姿に、トランプ氏は『目指す方向は同じようだ』と笑顔で答えたという。トランプ氏は、日米同盟の重要性を強調し、両国が信頼関係を構築して協力し合うことが双方の国益につながるとの安倍氏の主張に耳を傾け、ペンス氏も『信頼できそうな人物だ』と好感を示していたという。米軍撤退の可能性を指摘したトランプ氏が強硬姿勢を改めるかどうかは今回の会談では判明しなかったが、安倍氏を歓迎して受け入れたことから、今後は両者の間に信頼関係が築かれ、在沖米軍基地の増強や先島の自衛隊配備を巡り協力する可能性も出てきた」

 続いて翌20日には、「[安倍首相・トランプ氏会談]県は働き掛けを強めよ」というタイトルの社説を掲載した。

 「トランプ政権が正式発足してからの交渉によっては日本の軍事的役割の増加を求めてくる懸念も消えない。そうなれば、沖縄は負担軽減どころか、さらなる負担を押しつけられることになりかねない。(中略)翁長雄志知事は大統領就任後の来年2月に訪米を計画しているが、むしろ政権移行期の今こそ県ワシントン事務所などあらゆるチャンネルを活用して辺野古新基地建設に反対する沖縄の民意と、仮に強行することがあれば日米安保全体がリスクにさらされることをトランプ氏側に正確に伝える必要がある」

 続いて、21日の琉球新報では「[安倍トランプ会談]辺野古見直す柔軟性持て」というタイトルで、「翁長雄志知事は来年2月にも訪米し、トランプ氏らとの面談を求め、辺野古新基地断念を訴える考えだが、就任前にこそ、政権要職の布陣にらみ沖縄の実情を理解させる戦略を練り、実践すべきだ」と主張した。

 当選直後は琉球新報のみが政権交代前の訪米を主張していたが、安倍総理とトランプ氏の会談後の社説では両者とも就任前の訪米を要求している。おそらく、知事の背後にいる様々な勢力はすでに訪米の前倒しに向けて、国内外で動き出しているのではないだろうか?

 ちなみに、翁長氏が就任してから沖縄県知事の国外出張の日程調整は、県議会も知事公室の秘書も全く知らないところで組み込まれるようになっている。「島ぐるみ会議」等の民間人が調整してから知事が判断し、慌てて県庁職員が動くしくみになっている。つまり、県庁は知事を背後で操る特定の団体に乗っ取られているのだ。