翁長知事の対米外交の真意


 さて、翁長氏は安倍総理と対米外交を競っているかのようだが、現時点では圧倒的に安倍総理に軍配が上がっている。
6月23日、国立沖縄戦没者墓苑で献花に向かう安倍晋三首相(左)。右奥は沖縄県の翁長雄志知事
6月23日、国立沖縄戦没者墓苑で献花に向かう安倍晋三首相(左)。右奥は沖縄県の翁長雄志知事
 筆者は翁長氏がトランプ大統領に面会できる可能性はほぼゼロだと見ている。何故なら、トランプ氏が国家安全保障問題担当の大統領補佐官への就任を打診したのが、元国防情報局のマイケル・フリン氏だからだ。フリン氏は沖縄の反基地運動の背景に中国共産党などの工作があることは重々承知なはずだ。

 では、沖縄の基地問題は手放しで喜ぶことが出来るかというとそうではない。次の大きな火種は仕込まれている。沖縄県に派遣された大阪府警機動隊員の「土人」「シナ人」との発言が沖縄県民全員に対する差別発言だとされている事件である。

 この問題で10月28日には沖縄県議会で臨時議会が開催され、社民党、共産党などが中心となって提出された抗議の意見書は賛成多数で可決された。一方、自民党会派はこの問題の本当の目的は沖縄県民と日本国民を分断するためのマッチポンプだと見抜き、機動隊員の発言はエスカレートした抗議活動が招いたものであり、県民に対して向けられたものではなく差別ではないとして現場警察官の負担軽減と十分な休養と心のケアを求める独自の意見書を提出した。

 事実、ヒューマンライツ・ナウという国際人権NGOは、9月13日から30日まで開催された第33回国連人権理事会に声明「沖縄県における米軍基地問題に反対する平和的抗議活動に対する抑圧と琉球/沖縄の先住民族の権利の侵害」を提出した。

 その中には「琉球/沖縄の人々が先住民族であることを認めた上で、国連先住民族権利宣言26条及び18条に基づき、琉球/沖縄の人々の「伝統的な土地及び天然資源に関する権利」及び「影響を受ける政策に事前に情報を得た上で自由に関与する権利」を保障すること」という勧告も含まれている。要は沖縄県民を国際的に先住民族だと認めさせることで、先住民族の土地と資源に対する特別な権利を利用して合法的に米軍基地を撤去させようという魂胆である。

 沖縄県民を先住民族だと認めさせる最も効果的な手段は、翁長氏が国連人権理事会で差別被害を訴えることであるが、それにはプロセスを経る必要がある。「日本政府に訴えても駄目だった」「米国に訴えても駄目だった」というプロセスである。このプロセスを経て、初めて政府から弾圧を受けていると主張することが出来、先住民族が国連に駆け込むことが出来るのだ。

 つまり、沖縄2紙は翁長氏の早期訪米を煽っているが、会談を成功させることが目的ではなく、無視されて失敗することが成功だと考えているのだ。つまり、翁長氏の訪米と土人問題のマッチポンプは、国連に差別を訴えるためのセットとなった環境づくりだということである。