一度、失った情報源としての信頼性を回復することは難しい。今後、DeNA社が同種のビジネスを画策する場合は、社名が見えない形で出資したり、分かりづらいように別会社経由させるなどの策を弄することになるのだろう。

 少なくとも、若い女性層に人気だった「MERY」のようなサイトを自前で保有することは難しくなるはずだ。何よりも「パクリはダサい」からだ。有名ブランドのパクリファッションが本当の意味で流行することはない。

謝罪するディー・エヌ・エーの守安功社長、南場智子会長(右) ら
=12月7日、東京都渋谷区
謝罪するディー・エヌ・エーの守安功社長、南場智子会長(右) ら =12月7日、東京都渋谷区
 これまで相当度黙認されてきた自由度によってPVを伸ばしてきたウェブメディアに対し、「責任感のない記事」や「不確かな情報源」を追及したり、社会的制裁を含めた厳罰化が、今後、テレビや新聞報道なみに進んでゆくことは想像に難くない。

 もちろん、これまで「ネットにいいようにやられてきたテレビや芸能人たち」が反撃をしかけてくるようにもなるだろう。少なくとも、「ネットで叩かれたら、炎上しないように黙って嵐が過ぎるのを待つ」というスタイルは減ってくるはずだ。

 その意味では、今回の騒動は、ウェブメディアと既存メディア、ウェブメディアとコンテツホルダーの関係にとっては、いわば「健全化」の第一歩のようにも感じる。一方で、ウェブメディアのこれまでのビジネスモデルに大きな変換が迫られることも事実であり、産業構造自体の「転換点」でもあるのだろう。

 ウェブメディアを開発したり、運営している側の立場としてみれば、ウェブにおける自由度の抑制は、機動性を低め、ネットの「飛び道具」としての威力を低減させかねない。それはそのままウェブメディアのメリットの目減りにつながるのだから死活問題ですらある。

 しかし、メディア学者という立場から客観的に今回の現状(あるいは惨状)を観察してみれば、こういった状況は訪れるべくして訪れたモノであり、遠からず通らねばならない道であったことは間違いない。今回はたまたま、「WELQ=DeNA騒動」がそのきっかけとなってしまったにすぎない。これがWELQやMERYでなくても、同じような「事件」はどこかで必ず起きていたはずなのだから。