しかし、この状況を考えてみると、恐ろしいネット上の「サイロ・エフェクト(縦割り化現象)」がもたらされている。

 適当なサイトから、クラウドソーシングで働くライターがパクって作成した医療記事が、検索エンジンによりトップに表示され、そこに掲載されている健康食品の広告で商品を購入し、また精査されていないはずの記事を鵜呑みにして、行動を起こす。いつしか、大きな健康被害が発生しても責任の所在地がはっきりしない状況になりかねない。

 しかも、これらの現象は今起きたことではない、少なくともキュレーションメディアやヴァイラルメディアの功罪は5年以上の歴史があるのだ。その間、GoogleもSEO化されないように、いろいろとアルゴリズムを調整し続けている。
 しかし、それもイタチごっこであり、常にGoogleに検索されやすい施策を取り続けてきた。それが、個人や中小企業でも参入しやすいキュレーションメディアを買収することによって集積し、拡大させ、資金を投入し、人的な加工でGoogleのエンジンをまんまと騙し続けてトップ表示させて流入を稼ぐ。IT企業を標榜するような企業が、インターネット上に役立たない情報を乱造し続けてきたにすぎないのだ。

 また「サイロ・エフェクト」はタコツボ現象と訳することができる。組織が高度化し、専門性を高めれば高めるほど、費用対効果を極限にまで追い求める。しかし、そこには組織としての目指すべきヴィジョンやゴールに対しての明確なヴィジョンがないとタコツボ化して前が見えないまま走り続けてしまう。

 もう一度、DeNAのサイトを確認してみた。創業時からDeNAのDNAは「新しいことに挑戦し続けること」「世界に喜びと驚きを」。何かの重要な「コトバ」が足りない気がしてならない。「正しい姿で…」「あるべき姿で」というコトバをDeNAにプレゼントしたいと感じた。

 組織が立ち止まった場合に考えるべき重要なことは、社会に対してのコミットメントだ。そこの意識がないと組織全体が好き勝手に挑戦し続け、好き勝手な喜びと驚きを与えつづけたのかもしれない。

 インターネット登場から20年も経過したのだから、IT業界全体が焼畑農業でなりふりかまわず稼ぐ時代はもう終わった。オトナの組織として社会全体を良い方向に導くために自社がなにをすべきなのかを全社員と意識を共有し、社内リソースを改めてキュレーションしなければならないのだ。