困った時に助ける事こそ真の友好だ


 さて、現在のロシア経済は多重苦に喘いでいる。多重苦とは通貨の暴落と金利の高騰と原油安に加えて欧米(G7)からの経済制裁である。通貨の暴落は昨年モスクワに来た時には1ドルが約30ルーブルだったのが現在は約60ルーブルだからルーブルの価値が約半分になった。私のモスクワの定宿が一年前は300ドルだったのが今回は120ドルになっていた。金利の変化は一般企業への貸出し金利は一年前が10%前後だったのが現在は25%前後まで高騰しているから企業は資金ショートのために正常な生産に支障をきたし始めている。去年の8月に100ドルだった原油価格が今や50ドルを切るところまで来ている。
ロシア中部ウファで開催された新興5カ国(BRICS)首脳会議で、頬に手を当てるウラジーミル・プーチン露大統領(ロイター)
新興5カ国(BRICS)首脳会議で、頬に手を当てるウラジーミル・プーチン露大統領(ロイター)
 今回のロシア訪問で面白い話を聞いた。生活が困窮しているにもかかわらずトヨタの高級車レクサスが飛ぶように売れているというのだ。インフレに対抗するために高級車を買い占める発想がロシア人らしい。しかも経済制裁を受けているドイツからの輸入は控えているのである。日本人は北方領土問題の為にロシア人を過剰に誤解しているが、ロシア人は日本人が大好きである。昨年のウクライナ紛争の影響から欧米の経済制裁のためにロシア経済の先行きは益々不透明になっている。

 馬場君は「日本とロシアの協力関係は将来、必ず大きく実を結ぶ時が来る」と何時も言っていた。彼ほどロシア貿易に信念と使命感を持っていた商社マンは居なかった。我々のロシアビジネスが飛躍的に発展した時期は過去に3回あった。1回目は旧ソ連の崩壊の時期である。2回目は98年の金融危機の時期で、3回目がリーマンショックの直後であった。

 私は資源大国ロシアが多重苦に喘いでいる今こそ、友好国として手を差し伸べ、日露の協力関係を築き上げる時だと思う。それこそ、北方領土四島一括返還の最後のチャンスだ。