北朝鮮が息を吹き返す


 野党の大統領立候補予定者は、誰が大統領になっても、金大中政権と同じような対北支援政策を実行するだろう。かつての左翼政権は、総額で1兆円にも達する対北経済支援を実行した。来年の選挙で政権を奪還すれば、二度と保守勢力に政権を渡さない戦略が、展開される。保守派の有力者が逮捕され、報道機関は税務調査で脅される。

 韓国情報機関の極秘情報も、北朝鮮に流れる。金大中、盧武鉉政権時代に、北朝鮮の工作機関統一戦線部と韓国の情報機関が「情報交換」していた事実は、広く知られる。これに怒った米国は、韓国に重要情報を教えなくなった。韓国に伝えた情報の60%が北に流れたと見ていた。

 トランプ米次期大統領は、在韓米軍の費用負担増と撤退に言及している。韓国の左翼勢力は北朝鮮の意向を受けた反米活動を活発化させ、在韓米軍撤退運動を展開するだろう。かつて、金大中は在韓米軍の中立化に言及し、盧武鉉は米国が持つ戦時作戦権の返還と、在韓米軍撤退を目指した。同じ政策が、推進される可能性がある。
12月1日、砲兵部隊の演習を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信=共同)
12月1日、砲兵部隊の演習を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信=共同)
 北朝鮮もまた、トランプ政権に期待をかけている。在韓米軍撤退に言及しているからだ。在韓米軍撤退は、金日成主席以来の北朝鮮の統一戦略の基本で、長年の夢だ。撤退が実現すれば、金正恩朝鮮労働党委員長の偉大な業績になる。在韓米軍が撤退すれば、韓国で革命を起こし軍事統一する戦略を、今も堅持している。

 平壌(ピョンヤン)からは、国連や日米韓の制裁に困り果てている、との情報が流れている。北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)米州局長は、11月中旬に米元外交官らに「来年2月までは、米朝対話の可能性を断つような行動をしない。来年2月の米韓合同軍事演習の中止を求める」と述べた。わずかな期待を、トランプ時期米大統領にかけるほどの、苦境にあるわけだ。米韓合同軍事演習に、北朝鮮がいかに困り果てている事情が、よくわかる。

 ソウル大研究所の調査では、第一野党「共に民主党」の支持率は36.3%から22.9%に。第二野党「国民の党」も、12.8%から5.9%に激減した。その一方で、無党派層が17.2%から53.4%に急拡大した。親北野党政治家の李在民市長は、無党派層に期待して、立候補するだろう。野党の候補者が複数立候補すれば、保守政党の候補者にも当選の可能性が生まれる。

 潘基文氏が、保守政党の候補者として当選すれば、慰安婦合意やGSOMIA協定の変更はない。米韓同盟も維持される。ただ彼は忠清道出身のため、慶尚道の保守票をまとめられるかが課題だ。北朝鮮が、2月以降に核実験を再開し、ミサイルを発射すれば、在韓米軍撤退の可能性は消え、「風」は保守に流れる。その「風力」が韓国の運命を決める。