前田氏は、この特殊改良された魚雷を投下したときの様子を語ってくれた。

「戦艦『アリゾナ』を見たら、外側横に修理用の小さな艦が横付けしていたので、雷撃しても魚雷がその小さな艦に当たるのではないかということで、『アリゾナ』を標的から外したんです。そして次に狙ったのが、籠マストが象徴的なカリフォルニア型の戦艦『ウエストバージニア』でした。まず我々二番機に先行していた一番機の魚雷が見事に『ウエストバージニア』のど真ん中に命中して、バァッ!と水柱が上がったんです。その直後に私の機が速度約140ノット、高度10メートルで突っ込んで雷撃したわけです。魚雷は艦橋下部に命中! 私の機が『ウエストバージニア』の上空を航過した後に大音響とともに大きな水柱が上がったのです。私は偵察員として戦果を確認する必要がありましたから、その一部始終を目に焼き付けました。あの光景はいまも忘れられません」
1941年12月7日、ハワイの真珠湾で日本軍の攻撃を受ける米戦艦ネバダ(左)、アリゾナ(中央)(ロイター)
1941年12月7日、ハワイの真珠湾で日本軍の攻撃を受ける米戦艦ネバダ(左)、アリゾナ(中央)(ロイター)
 そして雷撃隊に負けず劣らず、800キロ爆弾を搭載した九七式艦上攻撃機の「水平爆撃隊」の活躍もまた目覚ましかった。

 水平爆撃隊は、貫徹力を増した800キロ爆弾を搭載した九七式艦上攻撃機49機が投入されており、この攻撃がまた米戦艦群に大打撃を与えたのである。

 この800キロ爆弾は、戦艦「長門」が搭載していた41センチ主砲弾を航空機搭載用爆弾に改良したもので、その破壊力は凄まじかった。そもそも敵戦艦の分厚い装甲を撃ち抜ける戦艦の徹甲弾なのだから、上空から投下されて直撃すれば無傷ではいられない。この爆弾は、甲板を突き破って艦内で爆発する仕組みになっていたのだった。

 なるほど戦艦「アリゾナ」には魚雷と同時に800キロ爆弾4発が命中し大爆発を起こして後に沈没したのだった。

 真珠湾攻撃は、ミスで始まった奇襲攻撃であったが、厳しい訓練を積み重ねてきたパイロットの高い練度と、そして日本人の英知が生んだ大勝利であったといえよう。