講道館はプーチン大統領に名誉六段を与えようとしたが、丁重にこれを断った逸話もある。安倍首相はほとんど柔道の経験がなく、プーチン大統領の誘いを当然のようにあしらった。

 訪日前、テレビ局の単独インタビューに応じたプーチン大統領は、被災地から支援のお礼に贈られた秋田犬と戯れるシーンを撮影させた。そして、訪日中に講道館を安倍首相と訪ねるスケジュールを入れた。これは何を意味するのか?

 プーチン大統領は日本が嫌いで、日本には根っからの敵愾心を持っている、訪日はするが安倍首相や日本政府と距離を縮める意識はないという牽制のメッセージだろうか?

プーチン大統領は2000年9月に来日した際も、
講道館を訪れ柔道の練習に参加した
プーチン大統領は2000年9月に来日した際も、
 講道館を訪れ柔道の練習に参加した
 最初のスケジュールに2時間も遅れて来たニュースばかりが声高に報道された。それが旧東側諸国の外交戦略の常套手段だという解説がなされたが、その前後の日本側の対応も含めてロシア側の真意を探り、理解すべきではないだろうか。

 例え話だが、もし安倍首相がロシアを訪問する際、かねて愛好しているロシアの競技サンボを見学したいと要望し、できればプーチン大統領と手合わせを願いたい、そう要望したらプーチン大統領はどう対応するだろう?

 ゴルフ接待、グリーン会談などという言葉があり、スポーツはいまも政財界の要人たちが、特別な親交を温める場所として活用されている。スポーツが政治に利用されることに賛否はあるが、歴史を紐解けば、事実スポーツが世界の歴史を大きく変える舞台になった事実はある。米中国交回復の直接的な舞台となったピンポン外交などはその代表だ。

 安倍首相がプーチン大統領の誘いに応じ、お互い柔道着に着替えて畳に上がって身体をぶつけ合い、汗をほとばしらせたらどうだったろう? プーチン大統領が圧倒的な強さを発揮し、安倍首相が何度も畳に叩きつけられたにしても。いや本当は、日本を代表する政治家は、柔道や剣道、空手、相撲など、日本の競技の心得は当然のように持ち、外交の場で求められれば自信と誇りを持って型の演武などを披露する。それが日本人のたしなみではないのだろうか。

 文武両道と言われるが、そのような基本的な武の実践もない政治家が日本のリーダーになっている現実にいま日本が直面する様々な社会問題の根本はつながっている。