アメリカ政府は喉から手がでるほど戦争をしたかった。それにうっかり乗ってしまった日本は奇襲攻撃という戦術では勝ったかもしれないが、戦略では負けた。アメリカと戦うべきではなかった。

アリゾナ記念館(奥)を訪問後、演説する安倍晋三首相(中央)。
左はオバマ米大統領=12月28日、米ハワイ州ホノルル市(代表撮影)
アリゾナ記念館(奥)を訪問後、演説する安倍晋三首相(中央)。 左はオバマ米大統領=12月28日、米ハワイ州ホノルル市(代表撮影)
 修正史観が正しいかどうかは別問題として、アメリカがぼんやりした隙をついて日本が攻撃をした。その攻撃は宣戦布告を渡す前だったというのは事実。それは認めるべきであり、過ちを認めない人間はちょっと粗末だ。国家も同じです。

 僕が留学した昭和35年、ニューヨークのエンパイアステートビルの土産物売り場に行ったとき、灰皿や小さなお人形など、土産物の全部が日本製でした。日本は土産物をつくる二流国だったんです。80歳になってから息子と一緒に行って調べさせたら、全部メイドインチャイナだった。

 僕は、土産物を作るおばさんたちを知っていた。大阪社会部にいたとき、聞き込みでいろいろ回るのですが、おばさんたちが一軒の家に集まって手仕事をして、リアカーを引いたおっさんが回収にくるんです。「今日は30個もできたか。頑張ったな」なんて会話がある。戦前はそんな商品をアメリカなどに売って鉄を買い、軍艦を作った。そんな取引をして日本は勝てるか。向こうがくず鉄を売ってくれるからなんとか勝ち続けられたが、そんなのは一流国とはいえないし、アメリカに太刀打ちできるわけがなかった。

 安倍首相の真珠湾訪問は、現代の動いている歴史には大きな力もなく、変わりもしないかもしれない。しかし、日本はやっぱりすごい国だなってことを考えさせるためには、行くべきだと思った。安倍首相が真珠湾を行くというニュースを読んで、そうか、行くかと。世界中のものを考える人たちがそう思ってくれるだけで十分。行くこと自体に無限の意味があるんですよ。(聞き手・iRONNA編集部、川畑希望)

とくおか・たかお ジャーナリスト。昭和5年、大阪府生まれ。京大文学部英文科卒業。フルブライト留学生として米シラキュース大大学院で学ぶ。毎日新聞社で編集次長、編集委員を歴任。「サンデー毎日」記者時代、自決直前の三島由紀夫から手紙と檄文(げきぶん)を託される。61年、菊池寛賞受賞。平成9年、『五衰の人 三島由紀夫私記』で新潮学芸賞。著訳書多数。