日本は先進国の中で、交通事故死者に占める歩行中の事故死者の割合が極端に高い。2012年のデータでは、米国が14.1%、ドイツが14.4%なのに対し、日本は36.4%と倍以上になっている。そして歩行中死者の約7割は高齢者となっている。ちなみに電動車いすは歩行者に含まれる。ちょうどいい乗り物がないから歩くしかなく、その結果事故に遭うという状況が多いのかもしれない。
住宅に突っ込み、炎上する高齢男性の軽乗用車。この事故で男性にけがはなく、住人は仕事で不在だった=2016年12月10日、三重県四日市市
住宅に突っ込み、炎上する高齢男性の軽乗用車。この事故で男性にけがはなく、住人は仕事で不在だった=2016年12月10日、三重県四日市市
 もうひとつ日本と欧州で違うのは、都市の形である。日本は都市の範囲が広く、住宅が散在しているが、ヨーロッパは都市を抜ければ次の都市まで家ひとつ見ないことも多い。つまり生まれながらのコンパクトシティなのである。だから街中は歩行者中心、郊外は自動車中心という、道の役割分担ができている。歩行者が自動車事故の犠牲者になる確率は少なくなる。

 しかも欧州の都市では、横断歩道の手前の路面に盛り上がりをつけて減速を促す「ハンプ」や、リモコンでポールを上下させることで車両の通行を規制する「ライジングボラード」などをひんぱんに見かける。歩行者優先の思想が徹底している。

 対する日本は、スクールゾーンを設置しても通勤のマイカーが駆け抜け、重大事故が起これば集団登校や通学路の設定がやり玉に挙がる。恐ろしささえ覚えるほどの自動車優先がまかり通っている。 

 高齢ドライバーによる事故を完全になくすことはできない。でもそれを単独事故に留めることは可能かもしれない。小学生の列に突っ込んだり、コンビニに直撃したり、高速道路を逆走したりという悲惨な事例を減らすために、依然として多いMT車、低速モビリティの充実、コンパクトシティ、そして歩行者優先という特徴を持つ欧州の状況は、少しは参考になるのではないだろうか。