日本側の対抗措置に韓国メディアが驚いた理由


 日本側の対抗措置は、大使らの一時帰国だけではない。日本政府は、金融危機時に通貨を融通しあう「通貨スワップ協定」再開に向けた協議の中断など、経済面での措置にも踏み込んだ。経済協力にまで影響を及ぼすことが適切かどうかは議論の分かれるところだが、韓国側に「日本の本気度」を伝える効果はあったように見える。

 私見では、ソウルの少女像に対する日本国内の反感の強さは韓国側にきちんと認識されていない。私は昨年秋、来日した韓国メディアの記者たち(主として政治・外交担当)との意見交換会で、日本の世論は少女像問題に極めて強い関心を持っていることを認識しておいた方がいいと伝えたのだが、韓国人記者たちはピンとこないようだった。

 日本側の対抗措置に韓国メディアが驚いた理由の一端は、ここにありそうだ。日本側の関心をきちんとフォローしていないから、「なんでこんなに激しい反発が出るんだ?」と驚いた。だから、「(対露外交など)安倍首相の相次ぐ外交失敗に失望した右翼保守層を結集させ、国内の支持基盤を固めようという意図が見える」(聯合ニュース)、「トランプ政権の発足前に韓国が外交合意に違反しているという主張をして、韓米関係を引き離そうとする動き」(ニュース専門テレビ・YTN)、「韓国の国政空白と米国の政権交代という時期をにらんだ日本の奇襲」(朝鮮日報)などという解釈が堂々と語られるのである。

 もちろん安倍政権の支持層に向けたアピールという面はあるだろう。だが、それは最初から日韓合意に不満を持っている人たちに「韓国のやりたい放題にさせるわけではない」というポーズを見せるためと考える方が自然だ。

 いたいけな少女をモチーフにした像は感情に強く訴える力を持つ。それは韓国世論に対してだけではない。日本世論を考えても、全く逆のベクトルではあるものの極めて強いインパクトを持つようになっている。韓国側がそのことをもっときちんと認識していれば別の展開があったろうと思われるが、現実はそうならなかった。非常に強い日本の対抗措置が、そのことを韓国側に考えてもらう契機になってくれればと思う。