「当事者の納得する措置」を求めていた韓国


 なるべく多くの元慰安婦が存命のうちに問題解決を図りたいというのが日韓合意の出発点だったはずだ。いまや韓国では全否定の対象ではあるものの、朴大統領が「当事者の納得する措置が誠意ある措置だ」と繰り返していた時に異論をはさんだ運動団体や韓国メディアはなかった。それなのに、生存者の7割超が合意に基づく事業を受け入れたことを全く評価せず、ほとんど報道もしないというのは、どうしたことだろうか。

 こうした事実をきちんと踏まえた上で、なお残る問題点について指摘するのが筋ではないか。日韓合意に否定的な韓国の有力政治家も同じことだ。当事者の多くが受け入れたことへの評価を明確にしないまま、再協議や破棄を主張するのは無理がある。

 日韓合意は、1990年代初めに慰安婦問題が外交問題となってから初めての政府間合意だ。日本による一方的な措置だった河野談話発表やアジア女性基金が国際社会に広く知られることなく終わったのと違い、日韓合意は国際社会に広く発信され、米国や欧州諸国、国連など多くのアクターから歓迎された。それだけに両国とも現実には破棄など簡単ではないし、そんなことをしても得るものはない。破棄しようとしたり、蒸し返したりしようとすれば、かえって外交的なマイナス点を重ねるだけになりかねないだろう。
筆者の新刊(2016年1月13日刊行予定)。礒﨑敦仁・慶応大准教授との共著で2010年に出版した「LIVE講義 北朝鮮入門」を全面改訂し、金正恩時代の北朝鮮像を描く。核・ミサイル開発などの最新データを収録。
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大准教授との共著で2010年
に出版した「LIVE講義 
北朝
鮮入門」を全面改訂し、
金正恩時代の北朝鮮像を描
く。核・ミサイル開発などの最
新データを収録。