そもそも日本人に宗教心がないのは秀吉のせい?


 「日本人は可哀想な民族ですね。歴史上常に近隣諸国に迷惑をかけてきたのに何も反省せずに自分たちだけが正しいと思い込んでいる。ドイツ人は少なくともキリスト教という宗教や哲学を持っているから客観的に歴史を反省できるのですよ。日本人は秀吉がキリスト教徒を大量処刑したくらいですからそもそも宗教心がないんですね。」とK氏の歴史講和はエンドレス。私が「キリスト教徒弾圧は徳川家光の時代からです」と指摘するとK氏は一瞬考えたが「まあ同じことですよ。」とにべもない。

 私が黙って聞くだけで反論しないので張り合いをなくしたのか「貴方は疲れているようですから明日の朝は私の家に来てシャワーを浴びて、それから朝食を食べて下さい」と提案してきた。これで深夜の拷問から解放されると俄か喜びしてオファーを受諾。時刻は零時半を過ぎていた。

朝から再び“従軍慰安婦問題”に


 9月14日 なんとも寝苦しい夜を過ごして5時半に目覚める。K氏の母親の家まで自転車で5分ほど走り急坂を登る。シャワーを浴びてから老婆が用意した漬物、小魚の佃煮、ごはん、味噌汁(?)の粗末な朝飯を食べる。老婆は黙って息子と私を見ているが何も語らない。

 食後に庭のベンチでネスカフェを啜っているとK氏は慰安婦問題を蒸し返して「少しのお金で日本は国際的な信用を得られるんですよ」と迫ってくる。深夜の暗闇ではないので当方も多少は精神的に余裕が出てきた。一方的かつ誤謬だらけの歴史認識を深夜に説教されて、ここで沈黙したまま帰ることは日本人としての誇りを汚されたままで引き下がることになる。自分の名誉のためにも率直に疑問点を質してみようと思った。

 「賠償責任を議論する前に歴史的事実を日韓両国の専門家同士で確認することが必要だと思います。私は慰安婦問題についてあまり知識はありませんが二つだけ確実な歴史的事実があると理解しています。一つは韓国人の従軍慰安婦よりも日本人の従軍慰安婦のほうが多かったということ。日本も当時は貧しく貧乏な家の娘はお金を稼ぐために従軍慰安婦になったという事情があります。二つめは韓国人の慰安婦も日本人の慰安婦も売春業者から報酬を受け取っていたということです。無償の強制奴隷ではないということです。これは従軍慰安婦が当時アジア各地から郵便為替で朝鮮や日本の故郷の家に送金した郵便為替取扱の記録が残っています。この二つの事実関係についてどのように認識していますか?」