なお、人事院調査の対象は正規職員給与だが、国税庁調査では非正規職員給与も含まれている。この点、政府は正規と非正規を均等扱いすべき立場であるので、人事院調査が正規だけを対象にしていることはおかしい。

 次に、人事院は官のいびつな組織構造には目をつぶっている。国家公務員について、役職は係員、係長、課長補佐、課長以上と分かれる。それに対応する民間企業では、係員・主任、係長・課長代理、課長、部長以上という役職だろう。人員をおおざっぱに言えば、国家公務員では、係員は2割、係長は5割、課長補佐は2割、課長以上1割だ。一方、民間企業では、係員・主任は6割、係長・課長代理は2割、課長1割、部長以上1割である。このような組織構造の下で官民比較をすると、各役職の給料が同じであっても、国家公務員は相対的に高い給料になるはずだ。

 さらに、若干テクニカルであるが、公務員では、給与表の重なりと人事評価の機能不全があり、結果として頑張っていない人でも年功で給与がアップしていく仕組みがある。
 給与表の重なりの前に、公務員の給与表を説明しよう。給与表は、役職に応じた等級と年齢などに応じた号俸がある。等級が上がるのは役職が上がったときで昇級といわれる。一方、定期昇給では号俸が上がることになる。こうした仕組みは官民で基本的に似ているが、民間企業の場合には、ある等級の最高号俸が次の等級の号俸を超えることはまずない。というのは、役職に応じた給料が基本であるからだ。その場合、給与表の重なりはないという。

 ところが、役人の場合、給与表の重なりがあり、上位級に昇級しなくとも号俸が上がることで給与が十分アップすることがしばしばである。その結果、係員や係長であっても、給料が高くなることがよくある。

 それでも、キチンとした人事評価があれば、まだ給与表の重なりの弊害は少ないが、公務員の人事評価はかなり機能していないのである。

 基本的に、人事評価はA、B、C、Dと四段階である。筆者の大学の試験評価は相対評価である。例えばA2割、B3割、C4割、D1割などと割り振られる。ところが、役人は絶対評価になっているため、国家公務員では一般職員でもA6割、B4割で、CとDは基本的になく、幹部職員に至ってはA9割、B1割、やはりCとD評価はない。このため、病欠など特殊な事情の人間を除いて、誰でも年功により給与アップする仕組みになっている。

 以上のように、制度として公務員給与の決まり方には大きな問題がある。公務員の場合、会社がつぶれる心配がないので、民間給与より低い水準でもいいはずだ。となれば、3割以上カットしてもいいくらいだ。

 公務員給与をカットする動きがあると、景気に悪影響などという的外れの議論が出る。マクロ経済の有効需要の観点から言えば、公務員の給与カット分は他の公的支出に回ったり、増税額の縮小になるので悪影響は少ない。そもそも公務員の給与が民間より高い水準であること自体がまったく正当化できないので、その是正を行うのが当然である。