他紙にも報じられていることだが、「文書について複数の関係者は、安倍晋三首相が解散表明した(11月)18日、TBSの『NEWS23』に出演し、強い不快感を持ったことがきっかけと証言している。番組は景気回復の実感を街頭の市民にインタビューし、放送された5人のうち4人が「全然恩恵を受けていない」などと疑問視する趣旨の発言をした。首相はすかさず「街の声ですから、皆さん(TBSが)選んでおられると思います。おかしいじゃないですか」と局側を批判した。TBS広報部は『放送内容に問題があるとは思っていない。これまでと同様、公正中立な報道に努める』と話した。・・(略)・・NHKは『文書を受け取ったかどうかを含め、個別の件には答えられない』としている」(「西日本」1面記事)このNHKの対応は受信料で成り立つ放送事業者としての自律を疑わせるものだが、在京民放テレビ各局もこの文書について、ニュース番組では取り上げなかった。私が知る範囲では、同月末のテレビ朝日「朝まで生テレビ」で田原総一朗氏が朝日新聞や毎日新聞を参考にして取り上げただけであった。

 こうした状況は、まさにテレビ報道が政権や与党の「アンダー・コントロール」下にあることを、同時に権力チェックを期待されるジャーナリズムの役割を放棄している姿勢を政権与党に示したといえるのではないか。その後、安倍氏は読売テレビやフジテレビなど政権との親和性の高いとみられるテレビ局の生放送に出演しているがTBSやテレビ朝日には生で登場することはこれまでのところない。

 現政権は東京電力の福島原発事故後の状態をコントロールしていると世界に流布したように、メディア・コントロールを展開した。先の文書、そして昨年秋以降、放送法・電波法に基づくものとして「停波措置」を繰り返し国会で総務大臣が答弁をした。そしてこの春、TBS、テレビ朝日、NHKの長寿ニュース番組のキャスターなどが降板した。

 2013年9月7日、ブエノスアイレスで開催されたIOC総会で2020年オリンピックを東京に招致するため安倍首相の「アンダー・コントロール」と胸張って強弁した姿は、この5月の伊勢志摩サミットで「リーマンショック・クライシス」と都合のよいデータをもとに述べた同サミット議長の安倍氏の姿と相似するものであった。