韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像の前で
パフォーマンスする市民=1月4日(聯合=共同)
 日韓の長年の懸案事項であった慰安婦問題を解決する気運が高まったのは、日韓双方の同盟国である米国が強く促したからです。中国や北朝鮮と対峙する上で、日米韓という枠組みで臨みたい米国からすれば、日韓のゴタゴタは邪魔でしかないわけです。日韓双方の内政上は、慰安婦問題に関して歩み寄る気運はほとんどなかったけれど、米国の後押しが双方の政権の背中を押したわけです。もちろん、最後は双方の政権がぎりぎりの交渉を行って意義のある合意をまとめたわけですが。

 今、釜山の日本領事館前に慰安婦像が設置されたことで、日韓合意が壊れようとしていますが、ここでも構造の問題に着目すべきです。韓国がどうして約束を守れないのか。韓国の政権は何故かくも脆弱であり、何故この時期に瓦解したのか。

 韓国の大統領選を控え、勢いに乗る左派革新系の候補達は、日韓合意に反対しています。同時に、米韓で合意したTHAAD(高高度防衛ミサイル)に反対し、再び中国への傾斜を強めようとしている。米オバマ政権からトランプ政権への交代期に、日韓合意を後押しした構造が弱まり、別の構造が勢いを得ているのです。

 日米の和解の演出が行われたのにも、構造的な要因があります。中国の到底平和的とは言えない台頭と、北朝鮮の核保有が既成事実化した現在にあって、日米同盟を強化することは重要である。他方で、金融危機とイラク戦争の失敗以後の米国は民主・共和両党の主流派はともに内向きになっている。結果、実のある日米同盟強化策は採用されず、演出に頼るようになる。オバマ政権も安倍政権も、演出が巧みな政権なので利害が一致する。そんなところでしょうか。

 反発の大きかった安保法制を通したのは、実のあるものであり、自民党の保守として責任感と矜持が働いたのでしょう。その点は、歴史的に評価されるべきことと思っています。