次に福岡6区、こちらは元大川市長で故鳩山邦夫氏のご子息の鳩山二郎氏と自民党福岡県連が推す蔵内謙氏という、いずれも自民党系の候補による一騎打ちという構図。各候補の後ろには、鳩山氏には菅氏、蔵内氏には麻生氏がいて、その代理戦争とも言われている(先の参院選の神奈川選挙区における三原じゅん子氏と中西健治氏の戦いと同じ構図)。

 民進党については、前回の選挙の際には旧民主党として候補者を立てられなかった。その結果、対抗馬が共産党候補のみというほぼ無風状態で、故鳩山邦夫氏が得票率72%、得票数116,413票で圧勝している。そもそも自民党から民主党に政権交替した平成21年の第45回衆院選でも、民主党の古賀一成氏は故鳩山邦夫氏に勝てず比例復活という状況。つまり福岡6区は鳩山王国ということ。

 ちなみに、民進党が旧民主党として候補者を立てた前々回、第46回衆院選での得票数は47,643票、得票率にして22.6%。新生民進党として久々に候補者を立てた今回の選挙ではどうだったかと言えば、鳩山二郎氏の106,531票、得票率62.24%に対して、民進党の新井候補は40,020票、得票率23.38%。第46回選挙の投票率が58.66%であったのに対し、今回は45.46%と大幅に低かったことを考えると、こちらも意外と善戦だったと言っていいのではないか。なお、鳩山二郎氏の真の対抗馬である蔵内謙候補は得票数22,253票、得票率は13%と、民進党候補にも及ばなかった。
当選確実になり、支援者と握手を交わす鳩山二郎氏=2016年10月、福岡県久留米市
当選確実になり、支援者と握手を交わす鳩山二郎氏=2016年10月、福岡県久留米市
 さて、そうなると気になるのは国会審議以上に解散総選挙の有無。年末説やら年明け冒頭解散説やらあるが、結論から言えばいずれも可能性はなくなった、と言っていいのではないか。その理由としては、まず今回の二つの補選で野党共闘が十分機能していることが、前述のとおり明らかになったことがある。

 次に、これら2選挙区以外の選挙区、例えば東北地方等で反安倍、反アベノミクスの勢いが強まっていることがある。これは先の参院選の結果からも分かる。反アベノミクスと野党共闘、この二つが結びつけば、自民党が惨敗する可能性も否定できない。一方そうした地域のテコ入れには、ある程度の時間がかかる。そうなると軽々に解散総選挙などできようがない。

 朝日新聞の報道によれば、自民党の二階幹事長は記者団との質疑において、「謙虚に、勝ったときほど謙虚にやっていかなきゃいけない。(東京10区と福岡6区の衆院2補選という)この二つ選挙に勝ったからと言ってですね、日本国中で自民党が支持されているかどうかということは、これからも慎重に我々は検討して対応すべきであって。いま言われたような(衆院解散・総選挙への影響という)問題については、まったく考えておりません。この事態を受けて、ね」と話されたという。さすがのご達観、というべきだろう。(室伏謙一「政治・政策を考えるヒント!」より2016年10月24日分を転載)