女性高齢者の増加は1人暮らしの増大にもつながる。国勢調査によれば、65歳以上に占める割合は男性13・3%、女性21・1%だ。少子化や未婚化は進んでおり、今後さらなる拡大が見込まれる。

 1人暮らしに関する男性と女性の事情は大きく異なる。最も多い年齢層は男性が25~29歳(29・3%)、女性は80~84歳(28・2%)だ。

 女性の中で1人暮らし世帯を年代別に比べても70~79歳(19・6%)と80歳以上(19・0%)が上位に来た。高齢になるにつれて増えている。夫の死亡後、独居となる人が多いということだ。

 高齢女性には力仕事や、役所への書類提出や金融機関での手続きなどを「夫任せ」にしてきた人も珍しくない。まずは、こうした日常生活の支援が急がれる。

「特別住宅」整備せよ


 だが、生活能力の衰えとともに、いつかは1人で暮らせなくなる。住民基本台帳人口移動報告(2015年)によれば、女性高齢者の都道府県を越えた移動率は85歳以上で増える傾向が見られる。都会に出た子供との同居や施設入所に踏み切る人が増える年齢ということなのだろう。

 深刻なのは身寄りがなく、経済的にも窮乏して1人暮らしにならざるを得ない人だ。一概にはいえないが、女性には低年金者が少なくない。

 国民年金のみだったり厚生年金であっても男性と比べて勤務期間が短かったりして受給額が少ない例は多い。2014年度の厚生年金平均受給額は男性が月約16万5000円、女性は約10万2000円だ。老後の蓄えの多くを夫の介護費用に充ててしまったという人もいるだろう。

 こうした人々に個別に生活保護などで対応したのでは行政コストがかさむ。そこで提言したいのが、政府や自治体主導による低家賃の「特別住宅」整備である。
積水ハウスが管理する高齢者向け住宅の入居者交流会=2016年8月、東京都北区
積水ハウスが管理する高齢者向け住宅の入居者交流会=2016年8月、東京都北区
 大都市郊外では家族向けマンションなどの空き家が増えると予想されている。これを一棟丸ごとリニューアルするのも方策だ。医療や介護、生活支援サービスを一元的に提供することによって行政コストを抑えるのである。

 金銭面での不安を抱きながら“長き老後”を過ごす人が増えるであろう日本。よほど効果的に政策を講じなければ乗り切ることはできない。