1970年代~90年代までのアフリカには、まさに「暴君」と呼ぶに相応しいタイプの独裁者が君臨していた。大陸中央部に位置するザイール(現コンゴ民主共和国)を30年以上支配し、推定5000億円をスイスの銀行に不正蓄財したとされるモブツ大統領。1990年代のナイジェリアで人権活動家を公然と処刑し、最後は売春婦と性行為の最中にバイアグラの過剰摂取で死亡したとされるアバチャ大統領。世界最貧国の一つでありながら、国家予算の6倍の金を費やして皇帝戴冠式を強行した中央アフリカ共和国の皇帝ボガサ一世。紛争地で採掘されるダイヤモンドで蓄財した挙句、反政府勢力の蜂起で政権が崩壊し、身柄拘束後に隣国シエラレオネ内戦における戦争犯罪で国際刑事裁判所から有罪判決を受けたリベリアのテーラー大統領などである。

 彼らの支配には「国家の私物化」という共通点があった。天然資源の輸出収益など国有財産の横領。国際社会の非難を全く意に介さない苛烈な人権弾圧。酒、女、薬物などに溺れる堕落した私生活。彼らは国民生活の向上に一切の関心を持たず、当然の帰結として経済は麻痺し、国家は完全に崩壊した。
スーダンのバシル大統領=2015年1月撮影(AP)
スーダンのバシル大統領=2015年1月撮影(AP)
 今のアフリカにも、ダルフール紛争での戦争犯罪で国際刑事裁判所から逮捕状を発布されているスーダンのバシル大統領(在1989年~)のような「暴君」型の独裁者もいる。だが、時代は変わった。今日のアフリカの独裁者の中には、経済成長に強い関心を抱き、国を紛争に後戻りさせない決意を持ち、堕落した私生活と決別し、成長戦略の推進と社会の底上げ、すなわち「開発」を進めている指導者が散見されるのである。

 憲法の三選禁止規定を入念な手続きを経て改訂し、2000年から政権の座にあるルワンダのカガメ大統領は、そうした指導者の典型である。ルワンダでは野党関係者の投獄、不審死などがしばしば問題になってきたが、カガメは国内の絶大な支持を背景に強気の姿勢を貫き、国際社会からの批判を意に介していない。こうした抑圧的支配が問題視される一方で、カガメ体制下のルワンダは外国企業の積極的な誘致により、2004年以降ほとんど全ての年で7%以上のGDP成長率を達成している。