行政による違法行為・人権侵害は人命を奪う

 それだけではない。行政による違法行為・人権侵害は人命をも奪っていく。
 生活保護制度の窓口を訪れる者の多くは、働くことも家族に頼ることも困難な状態に追い込まれている。その状態で、申請すらさせずに追い返せばどうなるか想像に難くない。

 生活保護行政の違法行為によって、餓死や「孤独死」に追い込まれていく事例はいくつも報道されている。2012年には北海道札幌市白石区で、40代の姉妹が困窮のため3度も生活保護の窓口を訪れるが申請できず、凍死するという事件が起きている。こうした事例は、全国各地で起きている可能性がある。「水際作戦」による死亡事件は、2005年以降で明らかになっているだけでも11件起きている。
 また、生活保護を利用している者の命すら危うい状況に置かれているのが現実だ。生活保護利用者の自殺率は、日本全体の自殺率より2倍以上高くなっているのである。生活保護利用者の多くは、精神疾患を抱えており、家族や地域とのつながりが断絶して孤立している。その中で、唯一の接点であるケースワーカーによってパワハラを受けることが、利用者に対してどれだけの苦痛を与えるかは想像に難くないだろう。ケースワーカーによるパワハラは、利用者の生存を脅かすのである。

 ケースワーカーによる違法行為・人権侵害がいかに私たちの足元から社会を破壊し、人命を奪っていくかがわかるだろう。公的機関が差別・人権侵害の主体となっているいま、行政を監視し是正させていくための取り組みが急務である。私たちは、「反バッシングムーブメント」を立ち上げ、ネット上で行政による違法行為・人権侵害の監視、是正のためのキャンペーンを開始した。

 反バッシングムーブメントでは、ホームページ上で、行政による人権侵害のデータベース( https://antibashingmovement.jimdo.com/database/ )を作成し、その可視化も行っている。すでにホームページにはおよそ50件の事例を掲載している。このデータベースを一瞥するだけで、行政による人権侵害がとれだけ深刻かつ普遍的に生じている問題なのかが見えてくるだろう。

 生活保護制度を十全に機能させ漏給対策を進めていくことが、健全な社会を構築していくために必要である。今回の小田原市の事件が生活保護行政の改善へと向かうきっかけとなるよう、今後も取り組みを進めていきたい。