要するに、私は生活保護の不正受給(生活保護法第78条)として処理されている多くの部分に疑いを持っている。つまり、不正受給として計上されている案件の多くが、本来普通返還で対応すべきケースであると考えている。 
 
 例えば、受給世帯の高校生がアルバイトをしていた場合、このアルバイトの収入が未申告だと、統計上は不正受給として扱われてしまう。また、年金やその他の社会保障給付の未申告も、同様に不正受給とされる。

 NHKの報道によれば、不正受給の内容は、「働いて得た収入を申告しないまま生活保護費を受け取っていた」が46%、次いで年金を申告しなかったのが19%、働いて得た収入を少なく申告していたのが13%などとなっている。

 このような事案の大半では、担当のケースワーカーが十分にチェックしていなかったため収入を捕捉できていなかったということや、そもそもケースワーカーからの説明不足のために、申告することを知らなかったということが少なくない。当事者の中には、収入があれば当然役所が把握しているものだろうと思っていたために、制度の仕組みとして不正受給に分類される状況に至ってしまったというケースも多い。

 したがって、「不正受給」とされている問題の多くは、利用者の側に問題があるというよりも、ケースワーカーの側に問題がある。ケースワーカーは常に人手不足で、膨大な事務に忙殺されているため、利用者に対して十分な説明をしていなかったり、コミュニケーションをしっかりと取れていないことも多い。このように、「不正受給」の多くは行政の体制が生み出しているにもかかわらず、あたかも生活保護を受ける人たちが不正を働いているという誤解が広がっている。これは、行政による「不正受給」の偽装である。

ケースワーカーによる不正と水際作戦

 不正受給と関連した生活保護に関する誤解で、生活保護は「簡単に受けられる」、だから「不正がはびこっているのだ」というものもある。もちろん生活保護は、誰でも受ける権利がある制度だ。

画像はイメージです
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 しかし現実には、日本は世界的に見ても生活保護を受けることが非常に難しい国になっている。まず、世界でも類を見ないほど厳しく徹底した資産調査を日本では行っている。さらに、窓口のケースワーカーが不当に保護を受けさせないようにする「水際作戦」が横行している。

 たとえば、若い人が福祉事務所の窓口に相談しに行くと、「まずハローワークに行って、仕事がないということを証明してからでなくては生活保護を受けることができません」と追い返されるケースがある。ケースワーカーは生活保護の申請を受けた場合、法律上、拒否することはできない。だから申請させないよう、このような手段をとる。本来は、若くて働けたとしても生活保護を申請することは可能であり、資産や収入が条件を満たしていれば生活保護を受給することができる。