ケースワーカーをはじめとする対人援助職は、人の人生や命に関わる重要な職種であり、きわめて高い専門性が必要とされている。

 この専門性に関する国家資格の代表的なものに社会福祉士資格があるが、制度上はケースワーカーになるために必要とされていない。一応、福祉事務所の職員のうち、ケースワーカーとその指導監査を行う査察指導員については、社会福祉主事という資格を取得していることが社会福祉法に規定された条件となっている。

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 しかし、社会福祉主事は、指定された30以上の科目のうち3科目の単位を修得して大学を卒業するだけで誰でも取ることのできる資格だ。異動が決まってから研修を受けて取得することもできる。ケースワーカーになるために、一般事務の広範な知識は求めても、対人援助に必要となる高い専門性は求めない仕組みが続いているのが現状だ。

 さらに、社会福祉主事が条件になっているにもかかわらず、この資格の保有率は75%程度であり、25%が無資格で社会福祉法に違反しながら支援をしている。社会福祉主事は社会福祉士と比較しても決して専門的ではない資格なのに、それすら持っていない職員がかなりの数にのぼっている。また、通常1〜3年で異動があるため、専門性は高まらず、十分に知識や技術が継承される機会もない。

 このような状態では、ケースワーカーに人権感覚や多様な福祉の知識・技術を持つことを期待することが不可能であると考えざるを得ない。
 

おわりに

 生活保護ケースワーカーも人間であるから、差別意識や偏見を持つことがある。だからこそ、それが悪い作用として表面化しないように自己覚知し続けることが重要なのだ。そのためには、対人援助の訓練を受けた専門性の高い職員を配置し、日々の研修体制を整備するなど組織的な対応を充実させていく必要がある。

 そして、不正受給対策ばかりに取り組むのではなく、生活保護制度が必要であるにもかかわらず生活保護から排除されている人たちの問題に取り組む必要がある。生活保護制度の捕捉率は20%以下であるから、80%以上の人たちが生活保護から排除されたまま劣悪な状況での生活を強いられている。どちらがより重要な問題かは明白だろう。生活保護制度への誤解と偏見を解き、本当に必要な改革を進めていかなければならない。