神奈川県の受給世帯当たりの生活保護費は1,155万円?




図表:都道府県別受給世帯当たり生活保護費

 ここまでは基礎自治体である市区の生活保護費について書いてきたが、読者の視点に立てば、「生活保護受給世帯はどれだけいるのか」、「実際、受給世帯当たりどれくらいの費用がかかっているのか」ということに関心が行くのではないかと思う。

 そこで、厚労省が公開しているデータが都道府県ごとだったので、都道府県別の受給世帯数で、各都道府県内の市区の生活保護費の合計額を割った、都道府県別「受給世帯当たり生活保護費」を出してみた。

 市区の生活保護費の合計額でいえば、最も多かったのは東京都の6,045億円。次いで大阪府の5,896億円、神奈川県の2,903億円・・・となるのだが、人口数によってその順番は少し変わる。

 受給世帯当たりの生活保護費が最も高かったのは、神奈川県の年間1,154万7,005円となった。もちろんこれは受給額ではない。生活保護にかかる行政計費も含まれるので、この中には市役所の担当職員の給与等も含まれる。

 今回のデータの場合、市区のみが対象のため、町村のデータは含まれない。にもかかわらず、受給世帯数は町村も含めたものだ。ただ、そうはいっても生活保護世帯1世帯に年間1,154万円もかかっているという現実を皆さんはどう感じるだろうか。

 この仕組みを維持するために先述の負担を市民たちは負っている。本当にこの仕組みが今後も維持し続けられるのかについても考えていく必要がある。ちなみに受給世帯当たり生活保護費が神奈川県に次いで高かったのは兵庫県で1,153万7,729円。

 以降、岡山県1,092万7,650円、大阪府1,052万7,074円、京都府1,027万758円、広島県862万6,387円、愛知県816万5,408円、熊本県574万4,174円、宮城県558万8,423円、北海道532万6,095円となっている。


自治体の意識改革や法整備を考えるべき


 冒頭の話に戻るが、生活保護費の額だけを見ても、小田原市で2倍になっていることから分かるように、生活保護の自治体負担はこの10年の間に極端に増えている。

 その要因について簡単に背景を考えていくと、一つには経済状況がある、GDPが急激に上がる成長段階を終え、自治体現場における経済状況も悪化しているというのが現状である。

 それ以上に大きな要因になっているのが高齢化の問題だ。

 高齢者の場合、年金だけで生活できなくなると、この生活保護に流れてくる構造になっている。

 詳細についてはまた別の機会に書こうと思うが、こうした大きな要因の中で、生活保護は社会保障の一つとして大きく増大化していく状況にある。
これをどうするのかが最も大きな問題なのだが、国政においても解決策があまりなく、むしろ触れてはいけない「パンドラの箱」になっている。そのため生活保護の問題は一向に解決されない。

 年金問題を中心とした税と社会保障改革に関しても、年金について支給年齢引き上げや支給額の引き下げ等の対応を行ったとしても、年金額よりも生活保護費の方が高い構造から、この改革によって生活できなくなった人たちが一斉に生活保護に流れてくる構造になっている。年金改革を行う際には、この生活保護改革を同時に行わなければ、底の抜けた桶で水を汲むのと同じ状況になってしまう。

 こうした意味でも生活保護改革は喫緊の課題であると言える。ただ一方で、自治体現場では「国が変えてくれない」と文句を言っても、逼迫した状況から逃れられるわけではない。