アニメコンテンツビジネスは、いま大きな曲がり角を迎えている。これまでは作品をテレビで放送し、そのDVD化で収益をあげるようにしてきた。しかし、ある時期からDVDがまったく売れなくなった。テレビ放送だけでは製作費は回収できない。赤字である。それでも、膨大な数の作品が放映されているのは、当たればなんとかなるかもという一縷の望みに制作会社が懸けているからだ(そこそこ視聴率が見こめるので放送枠を残しておこうという局側の目論見も多少はあるらしい)。これは書籍も音楽CDも、事情はほぼ同じである。

映画『この世界の片隅に』のワンシーン(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
映画『この世界の片隅に』のワンシーン (C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
 あらゆるコンテンツがインターネットに無料で勝手に流されてしまうこの時代、収益を確実にあげられるのは何か? それはライブである。それしかない。映画は音楽CDにとってのライブステージだ。ただし、映画はテレビ作品以上に質を問われる。洗練されたシナリオ、緻密で美しい作画、二時間の映像を一気に見せる巧みな演出、そういった質的条件がととのわないと、映画館まで客は足を運ぼうとしない。

 注目三作品は、その条件をオリジナルタイトルとしてクリアした。ゆえに見た人が感銘を受け、自身の感想、評価を口コミとしてネットに流した。それがアニメ作品とは無縁であった人びとを映画館へと向かわせた。さらには、同じ作品を何度も見るリピーターまでもが多数あらわれた。今後、三作品の成功を受け、この傾向はますます強まっていくものと思われる。

 ちなみに、実写映画であってもCG部分は実写ではなく、アニメだ。「永遠のゼロ」、「シン・ゴジラ」といったCG多用作品は、そのかなりのパートがアニメ作品になっている。最近はテレビの実写ドラマもそうで、NHK大河に登場する城、城下町、合戦シーンはおおむねアニメである。「坂の上の雲」の日本海海戦も、大部分はアニメだった。

 もはや、実写とアニメに境目はない。実写だと思って見ている作品はアニメ作品でもあるのだ。事実、若い世代の人たちは実写とアニメを作品として区別しなくなりつつある。そういう時代になった。映画のカテゴリーを純実写とそれ以外に分けるしかなくなる日がくるのも、さほど遠いことではないだろう。