選挙制度の不備

 民主主義政治に置いて最も権威あるものと言えば、最高裁判所裁判官に言われるまでもなく主権者たる国民の政治に対する意思だろう。この意思を政治に直結する制度として選挙制度があり議院内閣制があるのだ。

 ところが国民の意思で政治を動かすと言う本質的な要件ほどないがしろにされていることはない。事実上はそんなことはできなくなっている。政治家は民主主義だといって政治をしているが選挙で政治を変えることなど偶然でしかなありえないのだ。

 唯一と言ってもよい選挙で、主権者である国民は政治に対して何ができるか考えてみて欲しい。現実のスーパー独裁政治などという憂うべき状態が進行しているのに主権者はほぼ傍観せざるを得ず、現状では、それを解消する為には有効な手立てがない。

 1回の投票ということで、自由民主党に投票してしまったら、自由民主党のすべてに賛成したことになり、野党にはすべて反対する結果になる。あまた繰り出される公約を見比べて、どうやって評価点をつけたらいいのか。政権政党が以前発表した公約が誠実に履行されたかどうかチェックしなくてもいいのだろうか。

 トランプ政権が誕生し、矢継ぎ早に大統領令を出すアメリカ政治について、日本はどう対応すべきか、だれもわからないということではあるが、こういう選挙時に想定しなかった政治課題について国民の意思は政治のどこにいる場所を見つけたらいいのか、死票の意思は次の選挙まで無視されていいのか、安倍政権の安全保障法案の成立過程について、あらかじめどうするか自由民主党は強行採決もすると説明して選挙戦を戦ったのか。

トランプ米大統領(左)の出迎えを受ける安倍首相=2月10日、ワシントンのホワイトハウス(ロイター=共同)
トランプ米大統領(左)の出迎えを受ける安倍首相
=2月10日、ワシントンのホワイトハウス(ロイター=共同)
 選挙制度に依拠した議会制民主主義では、国民は要するに主権者であるといわれるだけで、主権者の意思なんかで政治は動いていないのだ。だからこそスーパー独裁政治が成立するのだと私は考える。

スーパー独裁政治に国民はいかに対応するか



 私は、民主主義政治がスーパー独裁政治を許すようなことがあってはいけないと思う。どうするか最後に以下のような提案しておきたい。

 政治課題は無限と言ってよい程ある。そこでまずあまたの政治課題をとにかく限定し、その上でその重要度に応じて大まかに分類する。そして、政治課題の中から特別に多くの人に重要なかかわりのある重要な政治課題を選別して抽出する。

 この国民投票に付すべき政治課題の抽出にあたっては、事前に憲法に下記のような条文が用意されていなけれぱならない。

(新日本国憲法X条)
 国会において審議されるすべての法案の原案について審議にはいったあと、与野党で審議結果に多々問題が発生した時、法案の成立に反対の国会議員は国会審議の結果に因らないで、国民に直接決定してもらうことを衆議院議長に提案することができる。その提案者数が10日以内に衆参どちらか一方で3分の1以上になれば、その法案の採択は国民投票に付されることになる。国民投票へ、という決定が示された法律原案は、国民投票に付すと決定された日から10日以内に各政党は国民投票に付された内容について反対、賛成、また最も多くの国会議員によって作成された1つの代案、計3案を国民に提示する。そして提示の後30日以内に国民投票を実施して、最も多数の国民によって支持された案を成案(廃案)とする。 

 こうなれば安倍政権が集団的自衛権の行使のための法案について今のようにではなく国民投票で決めれば安倍政権の思うままにはならなくなるはずだ。

 例えば、今国会で、文部省の天下りの問題と、共謀罪の審議が行われてぃる。ここで国民投票が上記の新設の憲法の条文どおりに採用されていたら、この法案は衆参の予算委員会審議が終わった時点で国民投票に付されることになりおそらく否決されることになるだろう。

 野党連合が叫ばれていずれも立ち消えになるけれど、このぐらいの現状認識と代案を持って、民主主義を蘇生させスーパー独裁政治を駆除する為に立ち上がることを、私は夢見ないわけではない。