さて、安倍政権は現在「働き方改革」などと言い、長時間労働の是正や同一労働同一賃金、果ては「非正規という言葉をこの国から一掃します」とまでブチ上げている。ぜひ実現してほしいものだが、15年にはその真逆を行くような法改正をしている。それが労働者派遣法の「改正」。

 低賃金、不安定性が問題とされてきた非正規雇用については、リーマンショック後に派遣切りの嵐が吹き荒れる以前から、労働者保護の方向での法改正を求める声が上がり続けてきた。しかし、この派遣法「改正」は、不安定雇用に拍車をかけるようなものだった。派遣労働者を事実上、無制限に使い続けることを可能にし、生涯派遣の人を生み出すような「改正」には大きな反対の声が上がったものの、可決・成立。

 そんなふうに生活や労働を破壊するような政策を推し進めてきた安倍政権だが、この4年間、「アベノミクス」という言葉で一部の人を「景気が良くなってるのかも」と勘違いさせてきた。が、データを見れば一目瞭然、庶民の生活は苦しくなるばかりだ。

 例えば14年の「国民生活基礎調査」によると、「生活が苦しい」と感じている世帯は62・4%と過去最悪に。また、15年の「家計の金融資産等に関する世論調査」では、2人以上の世帯で貯金ゼロなのは30・9%でこちらも過去最悪。単身世帯では、貯金ゼロ世帯は前年調査比で38・9%から47・6%に激増している。

 このように、生活実感を巡る数字は、第二次安倍政権以降、次々と「過去最悪」を更新しているのである。

「でも、安倍政権になってから雇用は増えたんでしょ?」

 そんなあなたにお知らせしたい。安倍首相は「100万人の雇用を作った」と胸を張るが、第二次安倍政権以降、正社員は27万人減り、非正規雇用は167万人増えている。なんのことはない、増えているのは非正規だけなのだ。

 ここまで書いてきた以外にも、安倍政権は様々な法案を強行採決してきた。

 13年には特定秘密保護法を強行採決。14年には集団的自衛権の行使容認を閣議決定。15年には安保法を強行採決。これを受けて、16年12月には「駆けつけ警護」の任務を背負った自衛隊員が南スーダンへと送り出された。また、16年末の国会ではカジノ法案、年金引き下げ法案、そしてTPPも強行採決。一方、16年には日印原子力協定に調印。福島第一原発事故収束の目処すら立っていないのに、インドに原発を輸出しようというのである。
南スーダンPKOの自衛隊派遣に反対し、国会前で抗議の声を上げる人たち=2月10日夜
南スーダンPKOの自衛隊派遣に反対し、国会前で抗議の声を上げる人たち=2月10日夜
 また、原発事故によって自主避難している人々に対する住宅の無償提供を17年3月に打ち切るとし、新たな「棄民」政策を押し進めようとしている。それだけではない。大学に豊富な助成金をちらつかせて軍事研究をさせるような「安全保障技術研究推進制度」を発足。過去、研究資金などと引き換えに戦争に協力した反省から「軍事目的の科学研究はしない」と決めた日本学術会議を「金」で黙らせようという魂胆が見え見えである。