衆院予算委で質問を聞く金田法相=2月8日
 これ以外にも、「取り調べの可視化」というふれこみで刑事訴訟法を改正。そうしたらなぜか司法取引が盛り込まれ、盗聴法の盗聴範囲までもが拡大された。

 これに続くのが、17年1月20日に召集された通常国会に提出される方針の「テロ等準備罪法案」だ。共謀罪といわれる同法案は、犯罪を「計画」しただけで罰せられてしまうという法律。実際に罪を犯していなくても処罰されるというこの法案はこれまで3度、国会に提出されたが、野党や世論の反発で廃案となってきた歴史がある。そんな法案を、安倍首相は「オリンピックのためのテロ対策」としてまた持ち出してきたのである。

 「テロ対策になるならいいんじゃない?」という人もいるだろう。が、対象犯罪は300にも及ぶという。「計画しただけで処罰してOK」なんて法律ができてしまえば、いつ誰が捕まってもおかしくない。これまでの人生で「犯罪の計画ととらえられかねない会話」をしたことがないという人は、おそらく赤ちゃん以外にはいないだろう。

 ちなみに、安倍政権になってから、「報道の自由ランキング」は下がり続け、2010年には180カ国中11位だったのが、14年には59位、15年には61位、そして16年には72位となっている。一方、男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数も下がり続け、2010年には144カ国中94位だったのが14年には104位、16年には111位とやはり下がり続けている。

 さて、今回のテーマは「独裁者・安倍晋三」。コトバンクによると、独裁者とは、「独裁政治を行う者のこと。また、ある団体の中における権力を独占し、恣意的に物事を進める人」だという。私が「独裁者」という言葉を聞いて思い浮かべるのは、ヒトラーや北朝鮮の金正恩だ。

 安倍首相が独裁者なのかどうか、私にはわからない。ただ、「独裁者」と決めつけてしまった途端、多くのことが見えなくなる気がする。今思うのは、この国が、5年前、10年前とは随分変わってしまったということだ。

 駆けつけ警護という任務を負わされた自衛隊が南スーダンに派遣され、沖縄の基地建設に反対する人々に「土人」という言葉が投げかけられる。10年以上問題となり続けている「貧困」に対する有効な処方箋がないまま、「弱い者が更に弱い者を叩く」ような貧困バッシングが蔓延する。沖縄や福島という「犠牲」に対して、面倒なので見て見ぬふりをする。徹底した無関心が、この国を包んでいる。そしてその無関心の隙をついて、政権に都合のいい政治がまかり通る。

 もし、安倍首相が独裁者ならば、その独裁を許しているのは多くの人の無関心に他ならない。

 今からでも、一人でも、できることはある。まずは通常国会を注視していこうと思っている。