有力候補はいずれも北朝鮮シンパ


 朴大統領退陣にともない、わが国がいちばん危惧するのは慰安婦問題解決の合意遵守(在ソウル日本大使館前の慰安婦少女像撤去はいまだ実施されず)と、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の履行である。

 ところが韓国大統領選挙を控え、次期大統領として取り沙汰されている有力候補は、いずれも北朝鮮シンパとされる「従北派」であり、「親中」「反日」を旗印にしている人びとである。
韓国・釜山の日本総領事館前に設置された少女像を訪れた「共に民主党」の文在寅前代表(手前)=1月20日(聯合=共同)
韓国・釜山の日本総領事館前に設置された少女像を訪れた「共に民主党」の文在寅前代表(手前)=1月20日(聯合=共同)
 韓国の世論調査会社ギャラップの調査(二〇一六年十二月九日)では、各大統領候補の支持率は最大野党である「共に民主党」の文在寅前代表が二〇%。潘基文国連事務総長も同じく二〇%。三位の李在明城南市長が一八%。四位が野党「国民の党」の安哲秀前共同代表で八%となっている。

 文在寅は二〇一二年大韓民国大統領選挙で朴槿惠と大統領の椅子をめぐって激しく争った人物であり、結果は四八%の得票数を獲得するも敗北した。文は盧武鉉元大統領の下で外交安保会議の重責を担った。大統領秘書室長を務めたが、二〇〇七年に国連の北朝鮮人権決議案の採択前に北朝鮮に「内通」したことが明らかになっている。また二〇一六年七月には竹島へ上陸し、慰安婦合意・GSOMIAの破棄を明言するなど「反日派」でもある。

 潘基文国連事務総長は英国誌『エコノミスト』が「歴代最悪の事務総長」と批判し、「無能」「縁故主義」「国連を私物化」「透明人間」などと世界中から酷評されてきた人物である。中国に対しては過度に配慮し、日米欧の首脳らが欠席するなか、抗日戦争勝利七十年記念行事の軍事パレード等に参加し、香港の大規模デモに対する中国政府の対応を「内政問題」と擁護するなど以前から韓国大統領就任を意識してきた。おそらく韓国大統領になれば、中国へさらに配慮した政策を打ち出すものと見られる。

 李在明は「韓国のトランプ」と呼ばれ、過激な発言で知られた人物であり、城南市役所前に新しい慰安婦少女像を建立。「朴正熙元大統領は日本軍将校出身で、日本軍慰安婦を真似して米軍慰安婦制度をつくった」と主張するほか、朴大統領を「日本のスパイ」と批判し、財閥解体や北朝鮮との無条件会談を主張し注目を浴びている。日韓両国がGSOMIAに署名した際には「日本は敵性国家であり、日本が軍事大国化する場合一番先に攻撃対象になる場所は朝鮮半島であることは明らかだ」と訴えた。不倫疑惑や経歴詐称、論文剽窃で修士号が取り消されたほか、側近が不正事件で逮捕されるなど弱点の多い人物でもある。

 安哲秀は二〇一二年大韓民国大統領選挙で野党候補一本化のため、出馬を文在寅に譲った経緯をもつ。慰安婦問題については「日本の謝罪と賠償なしに未来志向的な関係をつくり難い」とし、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備についても「理念論争ではなく徹底的に国益の観点で見るべきであり、得るものよりも失うものが多い」と反対姿勢を鮮明にしている。

 程度の差こそあれ、誰が大統領になっても日韓関係が好転することは難しそうな面々だといえるだろう。