韓国と断交すべきではない理由


 韓国の現状をこのように分析してきたが、日韓関係が悪化するなか、保守派の多くから「日本は韓国と断交すべき」との論調が多く聞こえるのも事実である。

 気持ちはわかるが、私はその提案には同意しかねる。

 第一に安全保障の問題である。

 朝鮮半島は南北とも準戦時体制を維持し、平時としては最大限の兵力を投入しており、無理を重ねている。しかも南北ともに反日教育を徹底しており、ここから南北と国内団結の方便を見出している。

 ドイツが東西合併後に深刻な経済不振に見舞われたことを考え、北朝鮮の経済を立て直したあとでなければ、南北統一は難しいとの見解もあるが、数兆円ともいわれる統一費用を賄うことができれば不可能ではなくなる(その費用を日本に負担させようと韓国は活動しているようだが)。

 一九八〇年に金日成主席は「高麗民主連邦共和国」の創設を韓国に提案したことがある。これは一民族・一国家・二制度・二政府の下で連邦制による朝鮮半島の統一を主張したものであるが、韓国で暗躍する従北派が画策する統一もこの一国二制度案である。先述した文在寅は二〇一二年、大統領となれば北朝鮮の連邦制案を採用して南北統一を図ることを明言している。

 いずれにせよ歴史の流れは早晩、南北統一の方向に向かい、朝鮮半島には巨大な兵力と核兵器、中長距離ミサイルを有した反日国家が誕生することになるだろう。

 二〇一二年十一月、中国の代表団がロシア・韓国の代表と今後の対日戦略について話し合っている。そこで中国が提案した内容は、①中国・ロシア・韓国で「反日統一共同戦線」をつくる。②中露韓は一体となり、日本の領土要求(北方領土・竹島・沖縄)を断念させる。③「反日統一共同戦線」にアメリカも加える、ということであった。昨年十二月十五日に行なわれた日露首脳会談で、北方領土の返還が「〇島」でありながら経済支援を急いだ理由は、強固になりうる可能性があるこの戦線を破る必要があった、という側面を忘れてはならない。

 いうまでもなく日本は縦に長く横に狭いため、敵からの侵攻に対して脆弱であり、そのうえ資源の乏しい国である。貿易立国でなければ生存できない致命的弱点をもつ。このような国が生き残るには、周辺の敵は少なければ少ないほどよい。敵の存在は、わが国の安全保障に深刻な影響を与えることは明白だ。

 日本の生存のために、そして反日統一共同戦線を打破するためにも、日本にとって韓国との友好関係はきわめて重要である。今後の東アジア情勢に鑑み、朝鮮半島、とくに半島南部の安定は日本に重要な意味をもたらす。

 朝鮮半島と日本を結ぶ対馬海峡を確保した国は、日本海を内海として利用することができる。中国が対馬を確保すれば日本は東シナ海だけでなく、日本海も戦域として想定しなければならなくなる(ロシアが対馬を確保した場合はより最悪の事態となる)。

 水上艦ならばまだ対抗できるが、潜水艦は中国海軍も能力を向上させており、ロシアは世界有数の潜水艦大国である。たとえ海上自衛隊が有能であっても行動が受動的になる以上、極度の緊張を強いられることになる。

 よって現代の日本にとって韓国の必要性は「対馬海峡の制海権の確保」にある。対馬海峡を確保できれば、日本の側面となる日本海を通過するすべての艦艇は一度、日本の監視下に置かれることになる、この優位性を得るため日本にとって韓国と最低限、安全保障では友好を確保する必要があるのだ。