明かされる「7つの驚異」の世界


 さらに今回、一般の人だけでなく科学者をも驚かせたのは、このような系外惑星系で、地球と同じようなサイズの惑星が同時に7つも発見されたということである。
赤色矮星「トラピスト1」を周回する7つの惑星を地球から超高性能の望遠鏡で観測したイメージ(NASA-JPL/Caltech)
赤色矮星「トラピスト1」を周回する7つの惑星を地球から超高性能の望遠鏡で観測したイメージ(NASA-JPL/Caltech)
 私たちの太陽系にある8つの惑星は、地球や火星のように主に固体(岩石や金属)からできている小さな惑星と、木星や土星のように主にガス(中心部は固体からなるケースが多いと推測される。ガスは木星や土星は水素やヘリウム、天王星・海王星はメタンなどが主)からなる大きな惑星の2つのグループに分かれる。小さな惑星のグループは地球型惑星、大きな惑星のグループは木星型惑星(さらに、天王星・海王星はひとまとめにして「天王星型惑星」とされることもある)と呼ばれる。

 このうち、生命が期待できるのは、やはり地球型惑星であろう。ただ、地球型惑星は小さいため、系外惑星でこのような小さい惑星を発見することは大変難しい。チームメンバーも大型望遠鏡やさまざまな技術を駆使してこの快挙を成し遂げている。

 今回、このトラピスト1の惑星系にある7つの惑星は、内側からb、c、d、e、f、g、hと名付けられており、全体として地球の0.4~1.4倍の質量を持つ(最も遠いhの質量はまだ完全に確定できていない)。ざっくりいえば「地球とほぼ同じようなサイズ」といってよいだろう。観測により、これらの天体が岩石質である(木星などのように、ガスが主体の惑星ではない)ことも明らかになった。

 惑星のうち、最も内側にあるbは、太陽系でいえば水星よりも内側を公転していることになり、ここに水が存在するのは難しい。上で述べたハビタブルゾーンに属する惑星はe、f、gの3つである。

 ただ、水の存在についてはいくつか問題がある。今回の発見では大気の存在までは確認できていない。もし大気が存在しないとすれば、表面の液体の水が蒸発し、宇宙空間へとやがて逃げていってしまう可能性も考えられる。ただ、地球サイズの天体であれば大気を十分に保持できると考えられるので、今後の発見には期待が持てそうだ。

 また、ハビタブルゾーンに属する3つの惑星(e、f、g)については、公転周期がなんとそれぞれ6~12日と、地球(365日)に比べれば大変短い。中心の恒星からの距離も、eが0.03天文単位、fが0.04天文単位、gが0.05天文単位(天文単位とは地球と太陽との距離…約1億5000万キロで、太陽系などで距離を表す際に使われる指標である)と、地球に比べるとこれまたとんでもなく中心に近いところを回っている。ただ、中心の恒星の光が弱いため、このくらい近い距離であってもハビタブルゾーンに属していることになるのだ。仮に水や大気が存在したとしても、その惑星の世界は地球とは相当かけ離れたものとなっているに違いない。

 さらに興味深いことに、外側1つを除く6つの惑星は、いずれももともとあったものではなく、どこかほかのところからやってきて、この天体の重力に捕まったものと研究者たちは考えている。

 7つとも地球型惑星だとはいえ、それぞれの世界が多様であることが十分に推測できる。もちろん、ハビタブルゾーンの3つの惑星に最も強い関心が集まるであろうが、その他の惑星が魅力的でないわけではない。むしろ、それぞれが「7つの驚異」の世界だと考えると楽しいだろう。

 このあたり、研究メンバーの1人であるマサチューセッツ工科大学のジュリアン・デ・ウィット氏は、「ロゼッタストーン(エジプト古代文字の解読につながった石板)は7つの言語で書かれていた。私たちはこの7つの惑星から、その世界を読み取ることができるのだ。」と語っている。

 これらの惑星がどのようにして誕生し、いまに至ったのか。それぞれの惑星がどのような環境を持ち、互いにどのような影響を及ぼしているのか。恒星のそばを早い周期で回るような環境の惑星に生命が存在しうるのか。私たちは今はじめて、地球や金星、火星などと直接比較できる、まったく別の世界へと足を踏み入れようとしているのである。