その対象犯罪、現在準備中の政府案では676とされていたが、ここへきて277まで絞り込むこととしたようだ。適用対象が「組織的犯罪集団」ということであれば、対象犯罪は基本的には組織犯罪と直接関連があるものなるはず。ところが、4年以上の懲役又は禁錮の刑を定める刑を「機械的」に対象としていたようで、これでは「共謀」とは無関係のものまで含まれてしまうことになるということで、絞り込んだということのようだ(少なくともそう聞いている)。

 また、この「共謀罪」新設の背景は「国際組織犯罪防止条約」、いわゆるパレルモ条約の批准に必要であるからとされている。これについては両論あるようで、法務省や外務省は必要であるという立場であり法務省のサイトにもその旨説明がなされているが、例えば日本弁護士連合会は現行法で対処可能であり、不要であるとしている。現行制度で対処可能ならばあえて法令改正を行う必要はないということになるが、さてどう考えるべきだろうか。

 これについて一つの考え方として、このパレルモ条約の性格を検証してみよう。この条約、国連の条約であって締約国・地域も187と多く、そこまで細かな内容が記載されているわけでもない。そしてこの手の条約の場合は、国内法で対処できると説明し、それを裏付ける根拠を示すことができれば批准は可能といえば可能。そうなってくると、条約の批准を金科玉条のように位置づけるのは少々難しくなってくるだろう。本来考えるべきは条約の批准云々よりも我が国の安全の確保。国際条約の批准やましてやオリンピックを根拠として必要性を訴えるのは主権国家としては筋違いのように思えてならない。さて、実際の法案審議では政府はどう説明するのか。

 一方、「共謀罪」は国民の自由を奪うもののように野党や左翼系と言われる人たちから非難されている。金田法務大臣の答弁ではないが、成案が得られていない現段階では何とも言えないが、頭から否定することはできないだろう。「共謀罪」の新設、刑法を中心に法律の専門的知識がないと議論するのは難しいばかりか、聞いている方も理解するのは容易ではない。そこで、「平成の治安維持法」といったようなある種のレッテル貼りをしないと一般有権者に分かってもらえないと、左翼系の人たちを中心に考えているふしもあるようで、そこから自由を奪う云々の話につながっているという側面もあるようだ。(ご年配の元運動家の方々のある種のアレルギー反応みたいなものもあるのかもしれない。)

 まあ自由を奪うかどうかという話になってしまうと少々抽象論になってしまうのは、一般市民のレヴェルであれば無理もないように思うが、国会議員にはそんなお粗末な議論はしてもらいたくないもの。やはり具体的な点に関して論戦を行って、問題があるのであれば問題を明らかにして欲しいところである。