タレントのロンドンブーツ1号2号・田村淳氏(以下、ロンブー淳)は、ネットを積極的に利用しつつも、「コピペ記者」「コピペ記事」など、ネットメディアのマイナス面に対して正面から批判を展開してきた人気芸能人の一人だろう。自らSNSや配信を通して、ネットメディアの情報の信頼性の低さや、「ネット民」「匿名コメンテーター」たちの無責任な情報発信対をして批判してきた。

 例えば、「芸能コピペ記事」に関しても、

「取材した後に記者の憶測や感想はあっても良いと思いますが・・・取材なしの憶測だけでの記事がまかり通るなら、なんでも捏造できますよ」(2016年10月7日@Twitter)

 と語るなど、直接取材をせずに記事を生産するネットメディアのあり方を「捏造」とまで言い切り、そのあり方に疑問を呈している。

 確かに、テレビやラジオ、あるいはイベントなどでの発言やSNSなどの書き込みの一部だけを抽出して、そこから記者の憶測によってフレームアップして記事化させる手法は、コンテンツである芸能人からすれば、迷惑どころではない。内容によっては、タレント生命を脅かしかねない問題である。

 実際に、真偽が不確定な段階で、噂や憶測だけがネットに拡散され、「事実」として一人歩きしたことで、タレント生命はもとより、健全な社会生活が脅かされた事例も多い。例えば、タレントのスマイリーキクチ氏に対して起きた「スマイリーキクチ中傷被害事件」は有名だ。1988年の凶悪犯罪「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人がキクチ氏であるというデマが流布され、それが半ば事実として一人歩きをはじめ、キクチ氏への中傷が激化していった騒動だ。

 ロンブー淳氏の場合であれば、次のように書いたツイートに対して、


「自分の意見なんだから/他人と違っていいんだよ/多数派が常に正しい訳ではない/議論の末に納得して意見が変わるのは良いけど、変に空気を読んで意見を変え始めたら取り返しがつかなくなる。」(2016年10月5日@Twitter)

 「人工透析患者は自業自得なのでそのまま殺せ」とブログで書き(2016年9月19日)全番組を降板となったフリーアナウンサー・長谷川豊氏への擁護と関連付けられて、ネットニュース化されるという「被害」にあっている。もちろん、時期とタイミングの合致こそあれ、ツイート内で長谷川氏には一切触れていない。

 既存メディアと異なり、法規制や業界内ルールが確立しているわけではないネットメディアにおいては、例えそれが不合理なものであっても、制御することは難しい。高い機動性と拡散性を有効活用されて、一方的なニュースリリースがなされても、それを受けるコンテンツ(=芸能人やターゲット)の側に、十分な抵抗手段や回避策はない。

 しかも、一度ネットに流れた情報は、コピーと編集が繰り返されるだけでなく、「Internet Archive」や「Web魚拓」のように、削除したはずの情報もアーカイブとして勝手に保存されて無限に拡散され続けるので、ネガティブ情報が発動された時の病巣は深い。