これは韓国に問題があるのは言うまでもないですが、やはり日本側の対応にも大いに責任があるんです。安倍政権の支持率は高いでしょうが、やはり韓国という国の現状をきちんと理解して対処できているとは言えません。もちろん野党も同じで、民進党にもできない。

 現時点で適切な対処ができる政治家は日本にどれだけいるでしょうか。なぜかと言えば、日本は中央集権と地方分権を両方経験してきたけど、地方分権的な思考が強いだけに対処法を知らないから、それをできるリーダーが育たない。国会を見ていると、田舎の議会みたいな議論ばかりしているじゃないですか。結局、政治というものを分かっていないんです。

 安倍首相を「猛獣使い」だと評価する人もいますが、重要な政治判断で小回りはきくけど、大局ではできない。ゆえに日本はトランプのような人物が大統領になったアメリカにどう対応すればいいか分かっていない。ロシアも含めて振り回されるだけになっている。

 安倍首相以外に適任者がいないから目立っているだけ。巷間で奥さんとの不協和音が流れて来る人が、トランプやプーチン、習近平らとうまくやれるはずがないじゃないですか。

 本来、慰安婦問題で日本が大使らを帰国させたのなら、同様な両国の認識で対立する別のカードを切らなきゃいけない。それが竹島なんですよ。そういうことが分かっている政治家は少ないのではないでしょうか。安倍首相には人選を厳しくしてほしいものです。

ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の横で抗議する若者ら
ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の横で抗議する若者ら
 ドイツにも慰安婦像設置だとか言ってますが、日本がこんな対応しかできないならヨーロッパ中に設置されて、そのつど日本がアタフタするだけ。慰安婦問題でドイツと対立するのは賢明ではありません。

 近く韓国は大統領選をすることになりますが、有力なのは左派の文在寅です。朴槿恵が罷免にならなければ、有力候補に変化もあったかもしれませんが、すでに保守派は分裂しているし、こういう結果になった以上、左派で親北朝鮮の野党が躍進していくでしょう。

 金正男暗殺などで北朝鮮への危機感は募ると考えがちですが、もともと韓国に北朝鮮シンパも多いわけですから、文在寅が有力であることは変わらない。もはや韓国国民が北朝鮮情勢を考慮して大統領を選ぶことはない。

 そして、新政権は当然、朴槿恵政権をすべて否定してきますから、日本との関係改善をすべて反故にして、「反日」的な傾向は強くなっていくと思います。だからこそ、日本は韓国の新政権に対処できるよう、韓国がどういう国なのかを冷静に認識する必要があるのです。(聞き手・iRONNA編集部、津田大資)

 しもじょう・まさお 拓殖大教授。昭和25年、長野県生まれ。國學院大大学院博士課程修了。58年に韓国に渡り、三星綜合研修院主任講師。平成10年まで三星電子マーケティング室諮問委員を務めた。専攻は日本史。18年から「島根県竹島問題研究会」座長。著書に『日韓・歴史克服への道』(展転社)、『「竹島」その歴史と領土問題』(竹島・北方領土返還要求島根県民会議)など。