伝統メディアの今後の戦略


 そうした中、伝統メディアは今後どのような戦略を取るべきなのか。

 まず新聞だが、専門誌に比べ、分析が弱い。というか、せっかく膨大な数の記者を抱えているのにそれが紙面に活かされていない。特にウェブ版は情報がどこにあるかわかりにくく、検索もしにくいのが致命的だ。
 新聞の強みは社会部、政治部、経済部、外信部、それぞれに経験を積んだ記者がいることだ。一つのテーマを縦割りでなく、横断的かつ有機的に分析し、深掘りした情報を提供できるはずだ。

 特に、自民党の茂木敏充政調会長が強く主張していた「夫婦控除」案はなぜ消えたのか。「選挙対策で断念した」という記事はあるが、どこにどのような力学が働いたのか、読者にとって興味のあるところだろう。安倍内閣が本気で女性の働き方改革に向き合っているのかを知る一つの指針となり得るからだ。この件について、日本経済新聞が5日連続で興味深い連載を掲載した。

税制改正 激変の構図(1)まだ分からないのか(2016年12月13日)
税制改正 激変の構図(2)「雑魚はいい、森を呼べ」(2016年12月14日)
税制改正 激変の構図(3)「すべて菅さん次第」(2016年12月15日)
税制改正 激変の構図(4)「動かぬならムチを」(2016年12月16日)
税制改正 激変の構図(5)「メンツ保てれば」(2016年12月17日)

 これを読むと、各省庁の思惑の違いと政府与党間でのせめぎあいが交錯し、結局抜本的な改革がなされず、小手先の改正で終わった顛末がある程度わかる。しかし、それだけでは読者は満足しないだろう。

 せっかくこうした取材力があるのだから、どうしたら今の税制が女性の働き方を変えるようなものになるのか、具体案を出してもらいたい、と思うのではないだろうか。ウェブ版には紙面の制約がないのだから思い切った編成で記事を書けるはずだ。

 次にテレビだ。テレビは地上波のリアルタイム視聴にこだわっているからなのか、放送した内容をネットで拡散してより多くの人に知ってもらおう、という意識が希薄なようだ。「配偶者控除」のような生活に身近で誰しもが興味を持つような内容こそ、放送後もきちんとコンテンツとして残しておくべきだと考える。