実際、先に記した文科省の再就職等問題調査班の「中間まとめ」でも、そうした事例は(21)の「公立学校共済組合事案」で明確に示されている。
 <文科省OBの◯◯理事長は、同組合の病院において優秀な医師を確保するためには科学研究費助成事業(科研費)の申請機関となることが必要との考えに基づき、同組合の病院が科研費の申請機関となるための事務体制を支援し>たと記されている。
 これもまた違法と認定されていた。

 大学にとっては生き残り手段として、文科省の役人としては退職後の生計として、天下りが機能してきた。それが今回の問題の構図だろう。中間まとめの事例を見ても、文科省側の関係者はとくに疑いも持たず「ポスト」を融通したり、打診していた様子が報告からうかがえる。

 この問題発覚後、呆れる声があるのはもちろんのこと、厳罰化を求める声もある。たしかに内容によって承服しがたい再就職があるのも事実である。

 だが、この現状に対して、厳罰化といった対応でよいのかと言えば、疑問でもある。文科省にかぎらず、霞が関の官僚は退職後に各種組織に再就職するのが習いだ。次官を目指すレースにおいて、道が途絶えた人が出ていくのもはるか昔からわかっていることだ。そのために霞が関に隣接する虎ノ門には多様な特殊法人までつくられてきた。
霞が関の官庁街(後藤徹二撮影)
霞が関の官庁街(後藤徹二撮影)
 そうした昔も今も変わらない環境を考えるなら、実情に基づいた無駄のない再就職支援をすべきだろう。現状では内閣府の官民人材交流センターがその任を担っているが、うまく機能しているとは言いがたい(だからこうした事態が起きている)。実際、文科省では2008年の官民人材交流センターの発足以降、同センターを利用して再就職した人は一人もいなかった。

 国家公務員法で公務員の再就職を禁じているポイントは3点。官庁が(組織的に)再就職に関与すること、本人が在職中に求職活動をすること、再就職した人が2年以内に元の職場に働きかけをすることである。

 この法規定に則ったかたちで、ジョブマッチングができるような環境を整えるほうが、大学にとっても、文科省の役人にとっても有益だろう。それには人事情報に関してより透明性を高めたり、再就職の経緯が明かされるような仕組みというのも一案だろう。

 元役人だからほしい人材と見るのもおかしいが、元役人だからけしからんという反応もおかしい。労働市場において、元役人も公平性ある流動性がつくれるか。今回の問題は、そのいいチャンスではないかと思われるのである。