話を再就職状況に戻すと、あれだけの情報の宝庫を放っておくのはもったいない。そこで本稿では、2012年4月から2016年3月まで4年間の再就職数6000件あまりの全体的な傾向を分析してみよう(一人で複数箇所に再就職しているものは複数件としてカウント)。

 再就職規制をクリアして再就職するためには、退職前での求職活動は独力かつ利害関係先以外で行うというのが基本である。退職後であっても独力でないとダメだ。

 再就職を短期間で行うためには、利害関係先でないところに退職前から準備して行う必要がある。それはなかなか大変なことである。しかし、全体の中で、退職日の翌日に再就職しているケースは多く、全体の1割程度もある。1ヶ月程度(翌日を除く)も多く、全体の2割程度である。つまり、1ヶ月以内に全体の3割が再就職しているわけだ。
退職から再就職までの期間(2012.4~2016.3)
 もちろん、ここのケースでは、独力で再就職先を探しているものもあるが、再就職の経緯について深く調べる必要があるだろう。実際、政府は、文科省に限らず全省庁に対して再就職調査を実施しているところだ。

 また、4年間であるが、多くの再就職者を受け入れている法人も多い。これらは、事務次官クラスの大物OBが再就職するところではないが、役所の斡旋の有無をチェックする必要があるだろう。
国家公務員再就職者が多い法人
 次に、今回話題になっている大学への再就職状況をみてみよう。大学に限らず学校法人への再就職は、この4年間で一定役職者以上であるが、300件あまりある。

 再就職者数の多い大学は、京都大学10件、東京大学9件、日本大学9件、国際医療福祉大学9件、早稲田大学8件などとなっている。
再就職者数の多い大学
 学校法人に再就職した人の出身官庁は文科省だけに限らない。文科省が69件と多いが、全体の2割であり、他の省庁からも大学に再就職する者は多い。
学校法人へ省庁別再就職者数
 筆者もその一人であるが、役人の再就職先として大学を選択する人は少なくない。というのは、文科省以外であれば、利害関係先になることはまずなく、大学の教員公募に応じればいい。大学としても、元役人は基本的な知識もあり、さらに大学人が苦手とする「雑務」もこなせるので重宝とされることが多い。

 筆者も、役人を辞めたら何ができるか考えたとき、大学かマスコミしか無理だろうと思った。一般企業に行くのは、役所のよほどの利権を背負っていかないとできないだろうと思ったものだ。

 今回の文科省の事件は、他省庁出身の再就職とは異なる、文科省の利権があまりに強く影響して、それが目立ってしまったのだろう。しかし、再就職状況をみると、出身官庁の利権を背景とした再就職ではないかと邪推できるようなケースがないとは言い切れない。これは、再就職状況を個別に、見る人がみればわかるのだろう。