その女性は、急進的排外主義の主張で知られる差別活動団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の関係者との情報もある。どうやらこの時の騒乱ともいえる状況は、その他にも関西の元在特会や関係者の差別主義団体のメンバーが集まっていたことから生じたもののようなのだ。

 在特会や関西の差別主義団体と森友学園とのつながりは、前日の菅野氏の例の告発でも触れられていた。特に在特会の元幹部だった右翼運動家の増木重夫氏と自民党議員や関西の右派議員との関係は問題化したこともある。関西の差別主義団体は札付きの人脈を連ねるネットワークを形成していた。これまでにも増木氏自身が右派的な主張で小学校への脅迫をしたとのかどで逮捕されたことがあるほか、朝鮮学校や日教組などへの業務妨害などでも刑事訴追されている。また活動とは関係がない場面でも主要メンバーの詐欺罪や暴力沙汰での逮捕も次々と続いている。そして、この差別主義団体は関西の右派のネットワークを通じて、やはり差別主義的な教育を実践する森友学園と近しい関係にある。彼らが議員団による森友学園の視察の場に現れたのは、これが背景にある。

東京都内の自宅マンション前で報道陣の取材に対応した菅野完氏=3月15日
東京都内の自宅マンション前で報道陣の取材に対応した
菅野完氏=3月15日 
 かたや女性のいう「しばき隊」とはかつて在特会などの差別主義団体に対抗する目的でつくられた集団のこと(※注)。いわば、その女性と差別主義団体のメンバーにとって、いわば天敵の存在である。なお現在、そのしばき隊はすでにない。在特会が新大久保などの在日コリアンの集住地域に対して女性や子供たちなどの弱者を相手に乱暴狼藉を働いていたことから義憤にかられた人たちが集まって一種の反レイシズムのミリシア(自警団)的な組織をつくった。かつて、菅野氏はこのしばき隊の幹部クラスの人間であった。それがなぜ籠池氏の代理人のようにふるまっているのか、確かにこれまで自分たち差別主義団体のメンバーを追い詰めてきた菅野氏がなぜこの立場にいるのか、事情通であればあるほど不思議であろう。「騙されないで」という女性の絶叫はそういうことが背景にある。

 しばき隊はドブさらいがその役目だった、と言える。近所でドブ川が雨になるとあふれて臭気を放つ。役所に頼んでもいっこうに腰を上げる気配もない。それならばみなで集まって、汚い仕事だけれどもドブ川をさらうしかないだろう。それがスタート地点だった。だから、そのメンバーには思想も過去も職業も問われなかった。そして「右翼」と対峙するために特に屈強な男たちが集まった。エリック・ホッファーは言う。「どんな政治運動でも最初の段階ではアタマのおかしい狂信者がいて、それが突破口になる」と。向こう見ずで後先を考えない人間が、ある局面では必要となる。その中のひとりが菅野完だった。

※注 これについては「『しばき隊』とはなんだったのか -21世紀のダーティー・ハリーの栄光と没落」という文章を書いたことがあるので、そちらを参照されたい(http://blogos.com/article/148887/?p=1