落ち着いてよく考えれば、今回の件が「疑獄事件」だとすれば、学校法人の認可に奔走した籠池氏側が政治家側から資金提供を受けていなければ話の筋としてはおかしいし、その疑惑追及の「正攻法」や「本質」からはずれた問題になると考えなければおかしい。

 そもそも、今回の国有地払い下げ問題が政府の言うとおり、きちんと法律に則って行われていたとすれば、あとは籠池氏側から政治家への現金の授受の証拠を突きつけるのが本来の疑惑追及の「正しいあり方」のはずだ。

 大体、時代を遡って言えば、学校法人の国有地払い下げを問題化するとすれば、日本国内で頭の痛い事例がたくさんある。

 例えば、東京三鷹市に広大な土地を持つ国際基督教大学は、GHQのマッカーサーが日本にキリスト教を広げるために、「隼」など戦闘機を作っていた中島飛行機を「戦犯」に指定した上で、土地を没収し、日本政府に寄付をさせた土地に設立されている。

 他にも私立大学や私立高校で国有地払い下げのケースがあり、元々公立学校の敷地であれば、「国有地払い下げ問題」は存在しなかったであろう。いまのマスコミがおかしいのは、そもそもそう遠くない過去に、大手新聞社を含めた国有地払い下げの例があるにもかかわらず、それを無視するかのように、森友学園ばかりを攻め続けていることだ。

 私は、国会やマスコミが疑惑追及をすることを否定しているわけでは全くない。今回の籠池氏の言動は、不可解かつ虚偽性の高い可能性があり、それを言論の府の国会で取り上げるのは自由主義国として当然だろう。
報道陣に囲まれる籠池泰典氏=2017年3月16日、大阪府豊中市
報道陣に囲まれる籠池泰典氏=2017年3月16日、大阪府豊中市
 しかし、今回の疑惑追及の本質は、政府与党の政治家側に対して、籠池氏側から資金提供を受けたのか否か、という事実追及を中心にすべきだという点は、くれぐれも指摘しておきたい。

 田中角栄が3億円を受け取ったロッキード事件や、与野党議員に株式や現金をバラ撒いたリクルート事件がそうであったように、それが野党側やマスコミの責任追及の「正攻法」であるからだ。当然、彼らが狙う「首取り」は、そこから贈収賄を含む疑獄事件として成立し、発生してきた歴史をマスコミや野党は振り返るべきである。

 万が一、今回の国会喚問で政治家側に利益を生じさせる現金の授受を含めた政治家の関与の事実を立証できなければ、野党やマスコミは潔く手を引くべきであろう。

 繰り返すが、野党やマスコミの疑惑追及の基本は、「口利き」や「斡旋利得」を含め、政治家への「明確な現金の授受という行為の証明」が必要不可欠であり、それが立証できない事件は、法律的にも歴史的にも、「疑獄事件」としては成り立たないのである。