山口県下関市長選の候補者の集会であいさつする
安倍昭恵首相夫人=3月10日
 ではどこについて世論は「疑惑」を抱き続けているのだろうか。私見では主に二点である。ひとつは、首相夫人の森友学園への寄付金問題、もうひとつは、昭恵夫人付政府職員が財務省に国有地における小学校建設について問い合わせた件だ。

 前者について籠池氏の国会証言と昭恵氏との間では事実認識が食い違っている。これはもはや国会で明らかになる問題ではない。籠池氏の発言が偽証や名誉棄損などの可能性があるならば、司法や捜査機関の出番である。筆者はその方がこの問題は早急にけりがつくと思っている。ただし念を推しておきたいのは、昭恵氏が学校法人に寄付したこと自体はなんの違法性もないということだ。なぜこれがいかにも「悪」のように受け取られているのか、そこにはマスメディアなどの報道の在り方、問題があるのではないか、という感想を抱いている。

 政府職員の問い合わせについては、そもそも国有地の価格引き下げ交渉ではない。政府職員がさらに上長と相談して問い合わせを行ったとしても、違法でもなければ、道義的責任を問われるものでもない。実際に、籠池氏へ政府職員が送ったファックスの内容は問い合わせ以上の関わりを「謝絶」する内容を含んでいた。だが、野党もそして安倍政権に日頃から批判的なメディアも、これを土地取引への「関与」だとして批判し続けている。

 問題は、土地取引に関して価格面などで籠池氏側に有利に働いたかどうかのはずだ。現行の法規についての問い合わせには、交渉手段になりえる要素はない。これが常識的な見解だと思うが、単なる問い合わせさえも政権交代を要求するほどのものに映る人たちがいるようだ。さらに、自制のタガが完全に外れたようなマスコミの報道姿勢がこの風潮に作用している面もある。

 とどめは、財務省近畿財務局をはじめ、関係した省庁や職員などに、安倍首相や首相夫人を「忖度(そんたく)」して、便宜が図られたのではないか、という「疑惑」である。そしてこの官僚たちの「忖度」(相手の気持ちを慮ること)の責任を、安倍首相に要求していることだ。つまり官僚たちに「忖度させた罪」を首相は認めて、政治的責任をとれということである。