外国人選手にはあえて「日本風の英語」を!?


 栗山監督というと、熱血漢でフレンドリーというイメージがある。選手との普段のコミュニケーションは、どのように取っているのだろうか。
2016年8月16日、オリックス戦で逆転打を放ち、栗山監督(左から2人目)とタッチを交わす日本ハムのレアード(中央)=札幌ドーム
2016年8月16日、オリックス戦で逆転打を放ち、栗山監督(左から2人目)とタッチを交わす日本ハムのレアード(中央)=札幌ドーム
「実は選手とは普段あまり話さないんです。どちらかというと見る専門で(笑)。ただ、ここぞというときには、きちんと場を設けて真剣に話し合います。

 ただし監督として結論を言うことはありません。悩みや葛藤の原因や解決方法は、選手自身で気づかないと人間的な成長はないからです。監督としてやるべきことは、想いを伝えたうえで、自分自身で気づき、考え、行動できる選手になってもらうために方向性を示してあげることです。

 そういう意味で監督は選手の『気づかせ屋』だと思っています。選手をよく見ていれば、その選手が進もうとしている道が見えてきます。でもその道が、正しい道とは限りません。たとえば、タイプ的にホームランバッターではないのに、ホームランに憧れて長打力を磨こうとする選手がいます。でも『違う道のほうが、彼は輝くことができる』と判断したときには、その道を示し、気づかせてあげるようにしています。そして、本人がそれに気づくのを待ってあげることも監督としての大切な仕事です。

 ちなみに、外国人選手に対しては、日本語のような発音の英語で、積極的に話しかけるようにしています。僕は以前、大リーグでプレーしている日本人選手を取材したときに、言葉も文化も違う環境で暮らすことの大変さを痛感しました。だから外国人選手には、できるかぎり野球がやりやすい環境を整えてあげたいのです。

 実は、わざと下手な英語を使うのには意味があります。そうすることで、一生懸命さが伝わり、相手は聴き取ろうと真剣に話を聞いてくれるからです。気持ちや熱意は、ちょっとした工夫でより伝わると思います」
《取材・構成:長谷川 敦、写真撮影:まるやゆういち》

くりやま・ひでき 北海道日本ハムファイターズ監督。1961年、東京都生まれ。東京学芸大学を卒業後、84年に内野手としてヤクルト・スワローズに入団。1年目で一軍デビューを果たし、88年には、3割3分1厘と活躍。89年にはゴールデングラブ賞を獲得。90年の引退後はスポーツジャーナリストとして幅広く活躍。2012年、北海道日本ハムファイターズの監督に就任し、1年目にしてリーグ優勝を果たす。16年、11.5ゲーム差を逆転し、4年ぶりにリーグ優勝。日本シリーズも逆転優勝した。著書に、『未徹在』(ベストセラーズ)など。