森友騒動と社会的躁状態


 欧米のメディアを礼賛するわけではないが、CNNやBBCでは連日「トランプ政権とロシアの疑惑」を報じ、仏大統領選の行方が喫緊のテーマだ。万が一フランスで極右政権が誕生するとなると、「西欧近代の破壊」という歴史的変動を否が応でも目の当たりにするからである。豊中の「パワー系ネット右翼」を連日連日、こんなにも熱心に騒ぎ立てているのは、すわ異様の感すら覚える。

 STAP騒動、芸能人や議員の不倫、桝添元都知事の支出、豊洲云々と来て森友…。こうしている間にも、減り続ける人口・出生率上昇を阻む待機児童の問題・将来に禍根を残す大学学費高騰問題や、周辺国のミサイル実験や軍拡への脅威など、真に、連日議論の俎上にのせられるべき問題はどこかに消えてしまっている。

 森友騒動を見るたびに、この国が改革すべき巨大な悪や本質的巨悪に向き合わず、矮小化された卑近な騒動に対してのみ、近視眼的に躁状態になることに、着実に「日本国」のトレンド自体が衰亡に向かっていることを感じさせるのは、私だけの感覚なのであろうか。これは近年のハロウィン騒動にも通底するある種の社会的躁状態である。

 国益を考えるときにイデオロギーの左・右の別はないはずだが、こうして「同胞」同志、相争いて少ない戦力をまっことどうでも良い事案に振り向け続け、気がついた時には取り返しがつかないほど、国力が衰微していくのが、繰り返されてきた帝国崩壊の道程なのだろう。

 「―同じ仲間の意見対立は、敵に対するより執拗な憎悪を伴う」(バートランド・ラッセル)

(2017年3月31日 Yahoo!ニュース個人「だれ日。」より転載)