「結婚できないワカモノ」が共感されるのはもう少し先かもしれない。


 つまり、ドラマでは「結婚して子供が産まれたらもっと大変だよね」という、独身のアラサー女性でも当然気づくであろう問題が無視されている。

 もちろん、この程度の話は人気作家である作者が理解していないとは思えず、単純にターゲットをアラサー女子にしぼって、そして読みやすくするために結婚したいアラサー女子というあえて「ベタ」なネタをつかっているだけで、本当は真っ当な人間ドラマを描こうとしているのではないかと思う。

 ベタ=古い話=誰でも理解できる・誰もが安心して見られるストーリーであり、子育ての不安から結婚できないワカモノという「新しい話」がリアリティを持って誰にでも理解される主人公として描かれるのはもう少し先になるのかもしれない

 待機児童のような深刻な問題であっても、いまだに予算が足りないからと根本的な解決策が打たれていない理由は「消費税を1%上げて、全額(約2兆円)を待機児童解消の予算にブチ込みます」と政治家が言えるだけの環境になっていないことが大きな原因、つまり「新しい問題」だからだ。
※新し過ぎる内容は作家としても編集者としても読者の共感を得られるか分からないため、当然の事ながら商業作品としては扱いづらい。待機児童がすぐにでも解決すべき深刻な問題として各種メディアで扱われるようになったのはごく最近の話。

東京タラレバ娘は案外真面目な物語かもしれない。


 漫画とTVドラマでは多少設定が異なるようだが、3/1に放送された最新の第7話は、ドラマを作ってネットで動画を公開して町興しをしようと考えている田舎の町へ、売れない脚本家として働く主人公が訪れる回だ。同じ話が漫画でもある。

 当初はなんでこんなショボイ仕事をこんなクソ田舎に来てまでやらないといけないんだと主人公は憤るが、良い作品を作ってネットでドラマを見た人が一人でも町に来てくれれば……と本気で町興しを考えているオジサン達の心意気に触れて「自分は一体東京でこの年になるまで何をやってきたんだろう……」と改心し、改めて真摯に仕事に取り組むことになる。

 決して上品とは言えない内容で、結婚することが目標となってしまったアラサー女子のドタバタなラブコメディが続いてきたはずが、それ以降作品の雰囲気が大きく変わることを暗示させるような内容になっている。ここまでの流れが全部前フリだったの?と思うほどこの話の前後を境にストーリーが俄然として面白くなる(ネタバレになるのでこれ以上は書かないでおく)。

 このあたりは深いドラマを描いているのか、深いドラマだとさりげなく見せるテクニックを使っているだけなのか、作品が完結しないと分からないが……。