トランプ大統領はツイッターで「中国が行動しなければ、同盟国と行動する」とつぶやいている。このため、少なくとも日韓との事前協議なしに単独行動を行う可能性は低い。だが、米側が事前協議で日韓の同意を求めるのか、あるいは同意なしでも攻撃を行うのかどうかは不明だ。
中国の習近平国家主席との首脳会談で話すトランプ米大統領=4月7日、米パームビーチ(AP=共同)
中国の習近平国家主席との首脳会談で話すトランプ米大統領=4月7日、米パームビーチ(AP=共同)
 最大の問題は、米軍が北朝鮮を攻撃した場合、北朝鮮が米軍基地のある日韓に対して報復する可能性が非常に高いことだ。このため、日韓としては米軍による北朝鮮への先制攻撃を支持することに慎重にならざるを得ない。

 1994年にクリントン政権が北朝鮮空爆を検討した際、米軍は90日間で米軍5万2000人、韓国軍49万人が死亡、民間人の死者も100万人を超え(そのうち在韓米国人8-10万人)、被害総額は1兆ドルと推定したため、大統領は空爆を決断することができなかった。当時の韓国政府も空爆に反対した。

 なお、当時の日本は55年体制崩壊後の政治の混乱のまっただ中にあり、米軍から補給、機雷掃海、情報収集、護衛、船舶検査など1900項目に及ぶ協力依頼が来ても、集団的自衛権の行使に当たるため応じられず、米側を失望させた。

レッドラインがレッドカーペットに


 北朝鮮が日韓に対する報復能力を持つため、米国は北朝鮮に対して何度レッドラインを設定しても、結局は軍事的手段を行使できなかった。このため、専門家の間では、レッドラインが“レッドカーペット”になったと自虐的に言われている。トランプ政権にとっても、北朝鮮に対してレッドラインを設定するのは容易なことではない。北朝鮮は自らの報復能力にますます自信を深め、米軍の攻撃を抑止できると考えて、核ミサイル開発を強行しているのだ。

 トランプ政権による北朝鮮政策の見直しは完了したと伝えられているが、その中身は不明だ。おそらく、北朝鮮が米本土を核攻撃できる能力の保有を阻止することが柱の1つだろう。そのために軍事力の行使も辞さない構えを見せながら、中国への働きかけと、北朝鮮への圧力を強めているのだろう。しかし、中国がかつてほど北朝鮮に大きな政治的影響力を持っていない可能性は高く、また中国企業を対象とした経済制裁を行ったとしても、その効力が現れるには時間がかかる。