2012年8月15日、韓国の歌手、金章勲(キム・ジャンフン)や徐敬徳(ソ・ギョンドク)誠信女子大客員教授、俳優の宋一国(ソン・イルグク)、大学生33人が韓国の東海岸から「独島」までのリレー水泳を計画。8月15日は言うまでもなく、韓国の解放記念日。33人という人数は1919年3月に起こった独立運動で「独立宣言文」に署名した志士の人数。金章勲や徐敬徳は本業より反日活動が有名ということで、韓国では知らぬ者のいない反日闘士。宋一国は独立運動家の子孫を自称している俳優で、それを売りにしている以上、当然反日であらざるを得ず、さまざまな愛国的イベントにも積極的に参加している。
 
 さて、このリレー水泳、全員が49時間をかけて泳ぎ切ったまではよかったが、アンカーの金章勲が「独島」到着後に疲労とパニック障害で病院に搬送されるという事故が発生。また、安全確保のためにいけすの中で泳いでいたことも話題となり、日本のネット空間では韓国人の反日奇行の一つとして嘲笑の対象になった。しかし、韓国人によっては、こうした奇行も絶賛の対象であり、嘲笑することなど許されない。

 この翌年、韓国の彫刻家、キム・テッキ氏が「独島」に韓国のロボットアニメ「テコンV」のオブジェを設置しようと募金活動を開始するという事態が起こった。8月15日、「独島」に13メートルにも及ぶテコンVがトロンボーンを吹いている像を設置し、「独島」が韓国の領土だということを世界に発信しようという企画だった。「独島」に勝手にそんなものを設置することが許されるとは思われないので、「独島」を通して彫刻家としての名をあげることが目的だったと思われる。ところが、意外なことにこれがネットユーザーの猛反発で中止に追い込まれた。実は「テコンV」は日本の「マジンガーZ」と外見がそっくりで、パクリであることは国内外から指摘されていた。ただし、韓国人はパクリであるということを認めようとせず、つべこべと屁理屈をこねて、韓国オリジナルのキャラクターであると主張していたのである。

松江市で行われた「竹島の日」式典に抗議する市民団体メンバー=2月22日、ソウルの日本大使館前(共同)
松江市で行われた「竹島の日」式典に抗議する市民団体メンバー
=2月22日、ソウルの日本大使館前(共同) 
 ところが、いざそれが「独島」に設置される段になると、「日本のマジンガーZのパクリであるテコンVを設置することは許せない」という論調が大勢を占めたのだから、わけがわからない。無節操なダブルスタンダードなのだが、ほとんどの韓国人はそうした矛盾を気にしていなかった。「独島」の前ではあらゆる議論が無駄で無意味である、という好例ではあると言えるだろう。キム・テッキ氏は「テコンV」などを持ち出して失敗したが、保坂氏の著書などで事前学習をしておけば、十分に名をあげることができたはずだ。このほかにも「独島」に関する韓国人の奇行(彼らにとっては愛国美談)は枚挙にいとまがないが、馬鹿馬鹿しいので省略する。

 以上のような韓国内の事情を通して、読者諸兄も韓国人にとって「独島」がいかなるものか理解されたと思う。「独島」に関する限り、韓国人にとっては妥協も譲歩も不可能。神聖にして冒すべからざる絶対不可侵の領域であって、一切の異論を許さない。まさに「独島教」原理主義のようなもので、それに異を唱える者は、異端者として社会的に抹殺される。こうした原理主義者と付き合うには、関係悪化を恐れず徹底的に反論するか、不利益を覚悟で適当に妥協するか、お互いに無視するかのどれかである。いずれにしても、ほのぼのとした友好関係などありえない。これについては、韓国人も同様に考えているはずである。しかし、いまだ大多数の日本人にはその覚悟ができているようには見えない。だから、現実を直視できず、冒頭に書いたような甘ったるい想念に必死にしがみ付くのであろう。

 現在、韓国では朴槿恵政権が崩壊し、さらに強力な反日政権が誕生しようとしている。そして、領土問題に関する限り、これからも韓国人はこれからも絶対に姿勢を変えることはないだろう。日本人が領土問題、ひいては日韓関係に対する認識を根本から改めるべき時期が今まさに到来しているのである。