今村失言は、被災者に対する配慮を欠いたものだが、トランプ大統領の登場で、マイノリティー差別発言、人種差別発言など、いくらしても平気になってしまった。配慮など「クソ食らえ」なのだ。

 なにしろ、トランプ氏は「メキシコ人はレイプ魔だ」と言い、米大統領選の共和党予備選で対立候補だったカーリー・フィオリーナ氏に対しては、「あの顔を見てみろ、誰があんな女に投票するんだ」と、女性差別発言までやった。さらに、民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官に対しては「ナスティウーマン(くそたれ女)」、民主党の重鎮エリザベス・ウォーレン上院議員に対しては「ポカホンタス(米先住民の女性)」とまで言って、大統領になったのである。

 2014年、東京都の塩村文夏都議が、自民党の鈴木章浩都議に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」とヤジられたことが大問題になったが、器が違う人間は暴言を吐いてはいけないのだ。

 話は飛躍するかもしれないが、これでわかるのは、「失言・暴言」に対する糾弾は、発言内容そのものではなく、誰がそれを言ったかのほうが大きな問題だということだ。

麻生太郎財務相(鈴木健児撮影)
 そうでなければ、トランプ氏が大統領になれるわけがない。このことを日本で端的に物語っているのが、麻生太郎副総理だ。私は、麻生氏のボルサリーノ・ハットをかぶったマフィア・スタイルが気に入っていて、そのスタイルから「べらんめえ口調」で失言・暴言が飛び出すのが爽快だ。

 なにしろ、憲法改正では「ナチスの手口に学んだらどうかね」、終末期医療では「さっさと死ねるようにしてもらわないといけない」と述べたわけで、本来なら辞任ものだ。さらに、カップ麺の値段がわかるかどうかと質問されたときは、「400円ぐらい?」と答弁した。これで「庶民感覚がない」とものすごくたたかれたが、なぜ庶民感覚がなければいけないのか。私にはよくわからない。

 ところで、「暴言=毒舌」で日本を代表する人物といえば、ビートたけし氏である。じつは私は、昨年5月『ビートたけしのTVタックル』で米大統領選を取り上げたとき、トランプ擁護派のコメンテーターとして出演し、「トランプの毒舌はたけしさんも真っ青ですね」と発言して、あとから見たらこの部分はカットされていた。

 私の真意は、トランプ氏の暴言はあまりにもひどすぎて、ユーモアやギャグたっぷりのたけし氏を超えすぎているというものだったが、理解されなかった。同じく出演し、「トランプが大統領になったらアメリカから逃げる」と発言したパックンはわかったかもしれない。