ある不動産業界の事情通が言う。

 「もちろん、今までも地主さんとサブリース業者が締結する契約書にはそのことが明記されていました。しかし地主さんは営業マンを信用してアパートを建設するだけで、細かく契約を吟味しないので、家賃が下がるなんて気づかなかったのです。一方、国交省は、アパート経営をする地主は事業者であると捉えてきた。事業者とサブリース業者の契約ですから、お互いに契約書を細かく読むのは当然で、気づかなかったなんて話は通用しないというスタンスでした。ところがサブリース業者の業績拡大と比例するように、地主たちからの苦情が増加し、国交省もついに、地主は事業者というよりも保護されるべき消費者に近い存在であると、スタンスを改めたわけです」

 一つのキッカケとなったのは、サブリース業者によるアパートの建設ラッシュが大都市圏だけではなく農村部にまで及び始めたことだ。事情通が続ける。

 「大都市周辺のベッドタウンであれば、たとえ10年後にサブリース業者に家賃を下げられたとしても、借金返済の原資程度は何とかなる公算が高いのです。地価も上がっていますし、新たな入居者を探すことも難しくないからです。問題は地方の農村部で、営業マンに勧められるまま畑を潰してアパートを新築したようなケース。人口が極端に減っているため、10年以上経過した古いアパートに入る入居者を探すのは無理。結果、大家はそのアパートを売却して残債を支払うしかない。しかし、買い手を探すにはかなり値を下げる必要があるでしょう。最終的に、地主が土地もアパートも失い、銀行には不良債権が残るという最悪のシナリオが待っているのです」

 では、空室ばかりのアパートをサブリースで経営して、どうして業者には儲けが出るのか。それはアパートを新築する際、自社の関連会社に建設させて、大きな利益を上げる仕組みがベースだからだ。

  わかりやすい数字をあげて説明すると、大東建託の16年3月期決算では、売上高1兆4116億円に対して、建設事業の売り上げは5953億円、不動産事業の売り上げは7748億円である。売上高に対する比率は建設事業は42%、不動産事業は54%で、不動産事業のほうが規模が大きい。しかし、売上総利益2544億円に占める割合を見ると、不動産事業の利益が626億円で24%しかないのに比べ、建設事業の利益は1762億円でこちらは69%にも上る。建設事業は5953億円の売り上げに対して1762億円が利益だから、利益率約3割という濡れ手で粟の新築工事をしているわけだ。要するに、サブリース業者はその後の入居率を気にしないですむくらい莫大な利益を割高な新築工事で得ているのである。つまり、サブリース業者は新築アパートを立て続けていかなければ、最大の収益の柱を失うことになる。そのために強力な営業部隊を持ち、地方の大地主や、親が持っていた土地の相続人に営業をかけていくわけだ。